2002.12.01 tue
トゥリーの売出開始
サンクスギビングが終わると街は一気にホリデー・シーズン一色になる。
歩道に木製の台が置かれ、そこにカットした樅の木が沢山たてかけられて一般家庭のクリスマス・トゥリー用に売られる。サイズはいろいろだが一番多いのが2メーターくらいのもので価格は20ドルくらい。
わたし自身は自宅にトゥリーを飾る習慣は無いが、映画などで人々がトゥリーをかついで帰るシーンを何回も観ているからトゥリーが売出されるると、この季節になったのだと感じる。
たった一ヶ月ちょっとの飾り付けの為に木を切り倒してしまうことにどうしても抵抗を感じてしまうのだが、しかし、実際にはこの目的の為にトゥリー・ファームで栽培した専用木なので自然破壊とかそういったものではないようだ。エンパイヤステートビルディングのイルミネーションも緑と赤のホリデー・カラー。
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Today's BGM =
KIND OF BLUE by MILES DAVIS
2002.12.02 mon
市長からのクリスマスプレゼント
マイケル・ブルームバーグNY市長は本日ある書類にサインをした。プロパティー・タックスを18.5%へ増額するという法改定である。
この法改定により平均的コンドミニアム・オーナーは年間で $418の出費増に、コーオプ・オーナーで年間$248アップになるという。
こんなクリスマス・プレゼントはちっとも嬉しくない、とは市民の声。
「ニューヨーカーは基本的サービスをプロテクトするために少しだけ余計の支払いを求められたのだ」
議会のスピークパーソンは言う。市長のはじめの提案は25%だったそうだが議会の反対で今回の数字になったそうだ。
バジェットカット、増税などで10億ドルを捻出できるようだがそれでも来年度40億ドルの赤字が見込まれており、市長は来年度は所得税のアップを計画しているとの事だがこれは州当局の承認が得られ居ていない。
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Today's BGM =
KIND OF BLUE by MILES DAVIS
2002.12.04 wed
点灯式 (Tree Lighting)
Rockefeller Center の Tree の点灯式が今年も大掛かりに行われた。
19:00から始まる式はコンサートやスピーチなどの後、高さ23メートル、重さ7トン、樹齢75年のトゥリーに飾り付けられた 30,000個のライトが点けられ、1月上旬まで輝きつづけるのだ。
見物の為に集まる人々は17時くらいからやってくるので、Rockefeller Center の北数ブロックのところにあるわたしのオフィスのあるビルディングは18:00に南側出入り口を封鎖して混乱を回避する。会社のHRから全員に人が多いので注意するようにとメールが発信されるなど普通の生活が乱される。
習慣として根付いているものに批判的な意思表明はしたくないが、それでも、たった一ヶ月程度の飾り物のために75年もの間生きてきた樹木を切り倒すという事がどうも気にかかるのだ。
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Today's BGM =
MILES IN THE SKY by MILES DAVIS
2002.12.05 thu
大雪
今シーズン初の本格的ウィンター・ストームがやって来た。天気予報では午前11時くらいから降りはじめるとなっていたが7時位からぱらぱらと白いものが落ち始めた。すぐに高密度の降雪になり、8:30の出勤の時には視界が白い世界になっていた。
最大で1時間当たり1インチ(2.54cm)というハイピッチの降雪にニューヨーク市では250千トンの塩を用意して臨んだという。その甲斐あってか夕方になっても主要道路の車道には全く雪が無かったが車の屋根の上やベンチの上などには布団のような雪がふんわりと積もっていた。路肩の雪もかなりの量でこれから数日、融けだした雪でどろんこの日が続くことになりそうだ。
今日一日で降った雪はマンハッタンで6インチ(15.24cm)となり、これは去年の冬に降った雪3.5インチ(8.9cm)を一日にして上回った事になる。
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Today's BGM =
WALTZ FOR DEBBY by BILL EVANS TRIO
2002.12.06 fri
ホリデー・パーティー
会社のホリデー・パーティー。日本の忘年会に相当するのだろう。
でもアルコールの無理強いは全く無いので内容的には大分ちがうのかもしれない。会社のサブシダイズによるもので、含まれるのは、バフェット・スタイルの食事、ドリンク、それに希望者に用意される帰りのリムジン(カー・サービス)。
人の集まるところは得意でないが、会社の行事なので毎年参加する事にしている。
勤務先の会社は2回の合併を経ているのだが、パーティーでいちばん大騒ぎしているグループは某社出身者たちなど思わぬカルチャーが発見できたりしたのは興味深かった。おっとりと明るい行風だったのがうかがえる。
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今年の会場は「
Planet Hollywood」。その名前のとおりハリウッド・フィルム所縁の品がディスプレイされている。『Wall Street』でマイケル・ダグラスが着ていたスーツ、『素晴らしき日(One Fine Day)』でミッシェル・ファイファーがいつも肩から下げていて何でも入っていた大きな鞄、『ドラキュラ』でゲイリー・オールドマンが持っていた剣、etc。
壁には、アクターたちの手型のレプリカがあり自分の手を重ねてみる。クリント・イーストウッドは指の関節ふたつ分くらい余ったが、ジョー・ペシの手型はわたしの手とぴったり一致したのだった。
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Today's BGM =
GOT TO BE REAL by CHERYL LYNN
2002.12.07 sat
雪景色の週末
雪の後、セントラルパークは暫くの間とてもラブリーになる。
自転車、ランナーはいつもより少なめ、スケーターはさすが一人しか見かけなかった。
いつもより多い散歩する人々がのんびりと午後を過ごす。
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Today's BGM =
TCHAIKOVSKY SYM NO.5 by SLOVAK PHIL.
2002.12.08 sun
ジョン・レノン
ジョン・レノンが凶弾に倒れて22年になる。
この日は毎年セントラルパークにある「
ストロベリー・フィールド」にファンが集まり、ジョンが撃たれた10:50PM及びジョンが死亡した11:15PMの二回の黙祷がささげられる。
1994年に設定された午前1時という公園の"門限"により以前のような徹夜の追悼集会は無くなった。今年は事前にこの日だけ午前1時のタイムリミットを無くす様に市に特別例外措置を依頼したたが許可を得ることは叶わなかったという。
22年経った今、国も宗教も戦争も無くなってはいない。
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Today's BGM =
IMAGINE by JOHN LENNON
2002.12.10 tue
ニューヨークの住宅事情
ニューヨーク市に住むには全米一高いハウジング・コストを覚悟する必要がある。
2000年に行われた Census(国勢調査)によると、収入に対するハウジングコストが最も高いのはブロンクスとブルックリンで、ほぼ三割のホームオーナーが収入の35%を住宅ローンおよび不動産関係の税金に費やしているという。そして、残りの七割の人々の中にはそれ以上のコストを払っている人が多いというのだ。一般的にハウジングコストは収入の25%以下が健全な経済状態といわれているが、ニューヨーク市に関してはその一般論は全く当てはまらない事になる。
ただでさえ高いハウジング・コストに追い討ちをかけるように発表されたブルームバーグ市長による固定資産税の18%引き上げは住民による市長支持率にも影響を及ぼしているようだ。最近デイリーニューズ紙が行ったサーベイによるとマイケル・ブルームバーグNY市長の支持率は31%、これは90年代初めに市長であったデイヴィッド・ディンキンズ市長(29%)に次ぐ低いものだという。大リストラ中の街の市長なのだから支持率が高まるとしてもそれは結果が出だしてからになるのだろうが、他にも、彼はスピーチが下手で喋り方に魅力が無いといった点も不人気の要因ではないだろうか。
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Today's BGM =
A HUNDRED DAYS OFF by UNDERWORLD
2002.12.12 thu
日没の時間が遅くなリ始めた
今日から日没時間が遅くなりはじめる。ニューヨーク地方では12月6日から11日迄の6日間が一年で最も日没時間が早く 4:27PMとなる。それが今日は4:28。これからは少しずつ遅くなっていく。夕方の暗くなる時間が遅くなるので日が長くなるような錯覚に陥るが、実際には夜のはじまる時間は折り返し地点を過ぎたけれど、日が昇る時間はまだまだ遅くなり、日中の長さは冬至の日まで短くなり続ける。
日の出と日の入りの時間は均等に早まったり遅くなったりするのではないのだ。
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昨日 12/11 |
今日 12/12 |
冬至 12/21 |
Length of Day
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9h 19min
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9h 18min
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9h 15min
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Sunrise
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07:08 EST
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7:10 EST
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07:15 EST
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Sunset
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16:27 EST
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16:28 EST
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16:30 EST
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そうえば夕方、いつもより明るかった気がしたが、それは久しぶりの晴天だったからという事だろう。
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Today's BGM =
DIAMOND LIFE by SADE
2002.12.13 fri
地下鉄とバスのストライキ
月曜日はニューヨーク市で大規模な交通ストがあるかもしれない。ストを計画しているのは「TWU Local 100」(Transport Workers Union Local 100)というニューヨーク市の公共交通機関労働者の労働組合のひとつ。3年間で24%の給料ベースアップなどについて雇用側であるMTA(Metropolitan Transportation Authority)と意見の一致に至っておらず、現行の労使協定が失効する日曜日のミッドナイトまでに労使の間での話し合いがつかない場合、34,000人の地下鉄とバスの労働者はストに突入する。
ストになればニューヨーク市の交通は完璧に麻痺する為に7百万人の通勤者があるNY市ではコンティンジェンシー・プランを幾つか発表している。例えば、カー・プールの強化による交通渋滞の緩和でマンハッタンに車で来る場合、4人以上乗っていないと橋を通る事が出来ないというルール、また、マンハッタンの特定の通りは救急車や公共の車などで緊急性のある車輌以外の通行を禁止する、など。
ニューヨーク州では州の法律で公共機関に働く者はストライキをする事が禁じられている。この法律に従わなかった場合の罰金については州の上級裁判所の裁定を待っている段階だが、認められれば最低でもひとりあたり$25,000の罰金が科せられることになるという。
会社は今から従業員確保のための対策におおわらわ。
業務の性格上、早朝からの勤務が必須であるポジションの人は日曜日の夕方から会社の近くのホテルに泊り込み。また、スト決行の交通機関以外に代替交通手段が無い社員には会社がハイヤーを差し向けて送迎。自転車で出勤する社員はビルディングのロビーにバイクラックが設置されるのでオフィスに持ち込まないように、などとアナウンスされたが、しばらくしてバイクラックの割り当てはテナントあたりひとつであるというメールが送られてきて何となく脱力。
総務の人は手配に大変そうだけれど、わたしは何となく心がうきたつ。
台風の前というと何となくうきうきしてしまうのと同じで何となく楽しい。世の中がいつもとちょっとちがうというのは矢張り心待ちにしてしまう。自分自身の通勤は徒歩なのでいつもと変らないし(インラインスケートで行こうかな)。
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Today's BGM =
JAZZ by QUEEN
2002.12.16 mon
No Strike
ニューヨーク市の地下鉄と市バスのストライキは結局無かった。
労使協定が失効する15日のミッドナイトになっても交渉はまとまっていなかったけれど、労使協定が失効する時間の「時計を止めて」労使交渉は継続されたからだ。結局交渉が合意に達したと発表があったのは月曜日16日の夕方。突入すれば22年ぶりのものとなるはずだったが、現在の経済状況でストがあったら打撃は大きかっただろうから回避できて良かったのだろう(ちょっと残念だけど)。
暫定とはいうものの、組合側が受け入れたプランは、初年度のベースアップゼロ、但し、一時金 $1,000の支給(これは組合員平均給与 $44,000の 2.5%に相当する額)、二年目と三年目は夫々3%のベースアップというもの。当初要求していた3年で24%のアップからは随分低く見えるが、一方、MTAが突きつけていたゼロ回答よりは良く、それなりの歩みよりといったところなのだろう。
10億ドルという大赤字のMTAとしては人件費を含む経費削減が必須というのはわかるが、こういった計数が他の業界をも巻き込む給与更改のデファクトスタンダードになったりすると嫌だなあ・・・
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Today's BGM =
X-STATIC by DARYL HALL & JOHN OATES
2002.12.20 fri
Coat Drive
約三週間にわたって勤務先で行われていたコート・ドライブ今日で最終日となった。
コート・ドライブとは要らなくなったコートを寄付して、コートを買えない人が暖かい冬を過ごせるよう資源の有効利用をするというもの。
ニューヨークには寒い冬にコートを買えないという人が沢山いるのだ。コートの配布は、NY Cares という非営利団体により運営されており、勤務先のHRは取りまとめたものを当該団体に送るという仕組み。寄付は所得税控除対象となる。
集まったコートは47着とのことで、120名のオフィスとして素晴らしい結果。
www.nycares.org/html/CoatDrive/
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Today's BGM =
LET IT BE by THE BEATLES
2002.12.22 sun
KONA Coffee
ハワイ在住の友人が旅行でニューヨークにやってきた。
おみやげに貰ったのがコナ・コーヒー。
ハワイ島のコナ地方でとれる種類で生産量が多くないこと、その高品質なことからブルーマウンテンに匹敵するといわれている。以前から飲んでみたかったのでとってもうれしい。
今日、ブルーしてみた。味は意外にあっさりしているが香りがリッチ。二回目はイノダ・コーヒーとブレンドしてみた。これはすごい。相乗効果で天国に行きそうな味わいのコーヒーになった。
次はどうやっていれようかな。
コナ・コーヒー、唯一のアメリカ合衆国産のコーヒーでもある。
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Today's BGM =
VOICES by DARYL HALL & JOHN OATES
2002.12.25 wed
Blue Christmans
郊外では夜中から雪が降り出してホワイト・クリスマスの朝を迎えたところもあるようだけれど、マンハッタンは雨。午後から雪に変ったが、べたついた吹雪はただの悪天候でありホワイト・クリスマスという雰囲気からは遠い。夕方には雷まで鳴り、現在の米国経済状況を象徴しているような天候となった。
商店街はブルー・クリスマスなのだという。何しろギフト商戦の売れ行きが激不調だったらしい。こんな不確定要素が多い世の中、更に不況でペイ・カットや失業も多いのだから買物熱が高まる訳も無い。小売業界は早めにセールを開始したりして消費意欲刺激を試みても結果にはイマイチ結びつかずブルー(憂鬱)で、青息吐息といったところなのだろう。
個人的には買い物客や観光客がいつもの年より少ない今年のマンハッタンは静かで歓迎できる状況だったりもするが、現実問題としては経済的活況を取り戻す方向感くらいは見えて欲しいものだ。
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Today's BGM =
WHEN I LOOK IN YOUR EYES by DIANA KRALL
2002.12.26 thu
吹雪の翌日
昨日の吹雪はニューヨーク市に5インチ(約12センチ)の積雪をもたらした。「クリスマス・デイ」一日に降った雪としては33年ぶりの記録とのこと。自宅の窓から見る外の景色は全てのビルディングの屋上が白い毛布で覆われたみたいで静かな雰囲気。
いつもだったらマンハッタンの主要道路はすぐに除雪されるのだが昨日は「クリスマス・デイ」、流石のニューヨーク市の機能もちょっとお休みだったらしくて出勤の段階では雪の残っている道もあった。
全天候型のブーツで雪の道を歩くのは楽しい。
ポスト・クリスマスはバーゲン・ハンターが元気になる。この日と新年のニューイヤーズ・セールの二日間で一年の売上のうちの一割を稼ぐと言うデパートもあるそうだ。
買物が好きな人にとっては混雑をも厭わない程の楽しみのアクティビティーなのだろうなあと歩道から溢れる人込みを避(よ)けながら会社からの帰り道に思った。
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Today's BGM =
AS TIME GOES BY by TUCK & PATTI
2002.12.27 fri
しんぶんし
読売新聞衛星版をとっている。選んだ理由は、ニューヨーク地区で購読可能な日本語の新聞(衛星版)、日経、朝日、読売の三紙のうち値段が最も安いから。ニュースはインターネットで読むので紙ベースの新聞はほとんど読まないのに購読している理由は、新聞しか読まないという人たちが得る情報とはどんなものかを確認するため。実際には配達されても開きもしない事が多いので無駄になっていることも多いのだが。
毎夕方(日本時間の早朝)、配達されるのは時差があるので翌日付の新聞。今日の分はやたら厚みがある。開いてみると、色刷りの特別版がいくつも挿んである。良く見ると2003新年特別号などと書いてある。そういえば年末には勝手に余計な紙の束が一緒に配達されるのだった。ニュース性が無いあたりさわりの無い特集記事ばかりで本来の新聞とは違うもの。こんなものを頼みもしないのに作って押し付けてくるのは編集する人たちの趣味かと思ったが、中を開いて理由がわかった。ずらりとならんだ「名刺広告」。要は、この広告掲載が目的だったのだな、と。
新聞は、普通は配達された段階では「新聞」で、読み終わると「新聞紙」と紙になるのだが、こんな広告だけの目的のものは最初から新聞紙だ。
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「しんぶんし」は回文(かいぶん)。英語だと palindrome、前後どちらから読んでもおなじになる語句のこと。
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Today's BGM =
SECRET STORY by PAT METHENY
2002.12.31 tue
都会の梟
年末をNYCで過ごそうと押し寄せてきた観光客をかきわけ歩いていたら歩道の脇の枯れ木にとまっている梟と目があった。
もちろん本物ではない。LEGOで出来たフクロウが最近オープンしたトイ・ストアのウィンドゥ・ディスプレイとして歩道に睨みをきかせていたのだ。
サイズがちょうど本物の白フクロウくらいで、鳴き声まで聞こえてきそう。
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今年のニューイヤーズ・イブは暖かい。
タイムズスクエアのカウントダウンに集まる人たちはいつでも寒そうにしているという印象だが、今までの記録をみると、一番寒かったニューイヤーズ・イブは 1917年で 華氏-7度 (-22C)、一番暖かかったのは、1965年で 63F (+17C)とのことだから、今晩の 50F(+10C)もそんなに突出した数値ではないという事なのだ。気温の如何を問わずカウントダウンしたい人はタイムズスクエアに集まるわけで今年も50万人とのこと。
テロ対策で去年は中止となった花火も復活、にぎやかな環境で新年を迎えた。
Have a safe and happy new year to all of you !
Weather data source:
The Weather Underground, Inc.
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Today's BGM =
TRIO 99 → 00 by PAT METHENY
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