2003.01.01 wed
グレゴリオ暦の新年
新年である。わたしが生まれてから今日に至るまで過ごした全ての文化圏では、この日に年度が新しくなるという事は自然に受け入れられているようだった。
しかし、今日を新年とする人工的な区切りはグレゴリー暦、すなわちキリスト教暦を採用している地域だけの出来事なのだ。グレゴリー歴は1582年に時のローマ法王グレゴリオ13世により制定されたもので、それまでの春に一年が始まるという太陽暦(太陽が春分点から春分点に戻るまでの一太陽年を基準にする)にとって自然な区切りを変更したもの。
キリスト教暦の一番の特徴はキリスト降誕の年を元年と定めたことで、非キリスト教の国でも広く受け入れれられているカレンダーとなったのはマイクロソフトのOSがデファクト・スタンダードになったのと似たものを感じる。
歴史を遡るとローマでは太陰暦をベースにして一年355日を12ヶ月で割ったローマ暦が用いられていた。太陰暦を採用している文化圏は現在でも多い。
現実問題として、ひとつのカレンダー(グレゴリオ暦)が世界各地で広く採用されているのは何かと便利が良い。
もし、各国が夫々の文化(宗教)に基づいたカレンダーを取り入れているとしたら国際取引の上で混乱が起きるであろう事は想像に難くない。さまざまな契約書には日付の欄に暦コンバージョンが必要となるのだから大変だ。尤も、暦変換があまり煩雑でグローバライゼーションが進まなくて反って平和だったのかもしれないが。
FYI:
Cool Calendar Info.
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Today's BGM =
MY LOVIN' (from "FUNKY DIVAS") by EN VOGUE
2003.01.04 sat
New Year Resolution
新年になると、年度の数字がひとつ増える(しばらく間違えて前の年を書いてしまう習性はあるが)という主な出来事があるけれど、実際のところは極めて人工的な区切りで少なくともわたしにとって特段の意味は無い。それでもカレンダーを新しいものに交換したり、会計年度が新しくなったりと、何かとアイテムを新しいものに替えるといった手続きは幾つかある。New Year Resolution もそのひとつ。
New Year Resolution、一年の始まりにあたり今年の希望や決意をすること。やはり残存期間が最長となる年初に行うのがリーズナブルだろう。12月の終りになって「今年の目標」を定めて決意したって対象日となる日が数日では意味がない。
別に毎年欠かさず決意をしているというわけでも無いのだけれど、
去年の記録をみたところ、次の二つを目標としてた。
1.早く寝る。
2.会社の休暇を無駄なく取得する。
達成状況としては、1.については結構定着していたが、最近になり夜中型になってきているので軌道修正せねば。2.については、5日しか残らなかったので以前に比べてかなりの改善であり休暇取得努力は実ったと評価できる。よって、どちらもそこそこに達成していたと言えよう。とりあえず今年も、この二点は継続したい。
New Year Resolution は前年と同じという決め方で良いのだろうかとも思うが、不変の目標に対して決意も新たに取り組むということなのでこれでよいのだ。
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Today's BGM =
TRY A LITTLE TENDERNESS by OTIS REDDING
2003.01.06 mon
ジグソー・パズルの空(電信柱と電線がニューヨーク市に無い理由)
1890年1月6日、ニューヨーク市当局は殆どの電信電話関連電線の地下への埋め込み移行が完了したと発表した。それまでは、空中を網目のようにワイヤーがはりめぐらされていたのだが、1888年のブリザードで電線や電信柱が地上に倒れて沢山の被害が出たことから地下に埋める方法へ変えられたのだという。NY市に電信柱や電線が無いのは最初からそういう都市計画に基づいたものかと思っていたが意外な歴史的背景があったと知った。
日本はどんな大都会でも電線と電信柱をみることができると思うけれど、電線が地下に潜らないまま現在にいたるのは、気候がマイルドだから(空中でもダメージが少ない)というのも理由にありそうだ。
電線が空中には無いという環境に慣れているのでたまに日本に帰り空を見上げると、どこでも黒い筋で区切られていてジグソー・パズルみたいに感じる。
実家の前の通りにも電信柱が何本もあり電線が張られている。毎朝、毎夕、そこには烏やその他の鳥が集まり情報交換やら会議を開催し、しばらくすると散会していくのだけれど、電線の無い地域の鳥たちはそういった集いをどうしているのだろう。
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Today's BGM =
OBSCURED BY CLOUDS by PINK FLOYD
2003.01.09 thu
氷が降る街
エンパイヤステートビルディングの周囲が数ブロック、通行止めになっている。理由は氷が降ってくるから。最近のローラーコースターのように上下する気温によりエンパイヤステートビルディングの上部に氷が付いたり、その氷が融けてかたまり、また融けて、と繰り返されるうちに氷のまま落下してくるケースとなったという。大きいものでは雑誌サイズの氷が落ちてくるというのだからちょっと危ない。
今のところけが人は出ていないが念のため交通を遮断したのだそうだ。
交通遮断区域は、Fifth Avenue の33rd Street から 35th Street、34丁目はSixth Avenue からMadison Avenueまでと普段は交通量が多い場所だけにそこが通れない為にマンハッタンの交通は大混乱、あちこちで渋滞が発生していたもよう。
雪の後に暖かい日が続くとビルの際は歩かないようにするのはマンハッタン・ライフの常識。ツララがとけて落ちてくるからなのだけれど、エンパイヤステートビルディングの規模になると、氷のサイズも形も違ってくるものだ。
ところで我が家の窓からのエンパイヤステートビルディング、最近は先端部分しか見えなくなってしまった。北西部に大きなビルが建設中で、この建造物によりハドソン川からの風が遮断される様になったのかもしれない、そして、それが今回の氷騒ぎの原因の一部なのかもしれない。
ほんとうはガーゴイルが氷を剥がしては投げているのだ、と妄想するのは楽しい。
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Today's BGM =
THE ROYAL SCAM by STEELY DAN
2003.01.10 fri
一年の長さ
年をとると月日の経つのが早く感じるようになるという説をよく聞くが、わたしは賛同できない。
なぜなら、2002年は2001年より確実に一年分年をとっているのにもかかわらず、わたしは 2002年の方が2001年より遥かに長く感じたのだ。
親と電話で話していたら「2002年はこんなに早く過ぎたことは無かった」と言う。
わたしにとって今迄で一番早かったのは2001年。物理的な時間経過の長さの存在を思い出すことが出来ない程だ。
でも、わたしにとって2002年は、かなり長く感じた年。退屈で長く感じたのではない。2002年はサブジェクトが実に豊富な年だったのだが、それらは楽しい出来事と分類できるものばかりだ。
それら色々な出来事を振り返ってみても、とても一年の出来事とは思えない。2〜3年分はあった気がする。
年月の経過が早く感じたり遅く感じたりするのはどういう加減なのだろうか。
2001年は、とにかく恐怖で塗られたのだから、深層心理的にそういった経験を圧縮しているのかもしれない。2002年は、大きなサブジェクトが幾つかあり、そこでセクションが区切られるので、そういった事が幾つもあると一年が長く(たっぷり時間があったように)感じるのではないだろうか。楽しいことは良く覚えているという楽観主義だというのも関係あるのかもしれない。
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Today's BGM =
COLOUR OF YOUE DREAMS by CAROLE KING
2003.01.12 sun
リスは忘れない
セントラルパーク、バンドシェル付近の大木の下でリスに餌をやっている人がいた。
メニューはピーナッツ。両手でナッツを持ち少しずつ回転させながら周囲をばりばりと噛んで殻をむいてから食べるのだ。
He 「今ひとつ食べて、あとはとっておくんだ。」
Me 「そう、そして忘れちゃうんだよね。」
He 「そんな事ないよ、雪の日とか、餌の無いときにとっておいたナッツを食べるんだ。彼らは人間が思うより利口なのさ。」
そういえば、ここのリスは太っている。ほんとうに保存したナッツを忘れずに食べているのかもしれない。
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PRETZEL LOGIC by STEELY DAN
2003.01.15 wed
The last NYC Subway Tokens
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ニューヨークの名物のひとつが間もなく姿を消す。それはサブウェイ・トークン。
50年にわたり市民のポケットの中や抽斗の中に住み着いたトークンは、MTA(Metropolitan Transportation Authority)の方針により廃止される事になったのだ。
ニューヨークの地下鉄は切符ではなくて Subway Token と呼ばれる専用コインを買ってそれでターンスタイルを通ってプラットフォームに向かう。ニューヨークに住んでいる人のポケットにはスモールチェンジ(小銭)のほかにトークンが幾つか混じっているのが普通だった。トークンブース(売場)は閉まっていたり行列していたりで買えない時もあるので予備を持って歩くのだった。
- 最初のトークンは今から約50年前の1953年7月に発行され額面$0.15のもので、今のものより小型なサイズのトークンは1970年に大き目のサイズに変更されるまで使われたそうだ。
- 1970年に発行されたトークンは真中に「Y」のカットがある最も有名なデザインで、1980年まで使用された。その間にフェアは $0.30、$0.35、$0.50と値上になった。
- 1980年にデザイン変更となったトークンはカットされていない「Y」が真中にあしらわれていて1986年まで使用された。料金は $0.60、$0.75、$0.90、$1.00と変遷を遂げる。わたしはこのトークンからリアルタイムのユーザーとなったのでなじみが深い。
- 1986年、偽造防止の為に変更されたトークンは中心部に別の金属がはめ込んであるデザインで五円玉の真中に鉛でも詰めたような感じ。NY地下鉄トークンの中で最も人気のないデザインだと確信する。1995年まで使用されフェアは$1.00から $1.15、$1.25と変った。
- 1995年に現在のトークンに変り、この真中に五角形の穴のあいたデザインが最後のトークンとなったのだ。フェアは $1.50。
このようにニューヨーク市とともに歩んだトークンだが、最近は持ち歩く人も殆ど居なくなってしまった。数年前に導入されたメトロカード(プリペイドカード)がすっかり普及してトークンで入れるターンスタイルが無い駅も登場しつつあるらしい。
MTAがトークンを廃止することにした理由はその非経済性にある。回収するコストが随分かかるという。売る側としては取り扱いもメトロカードの方が楽なのだろうが、でも、トークンが無くなるのは残念。
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Today's BGM =
NIGHT AND DAY by JOE JACKSON
2003.01.18 sat
The Rolling Stones Live @ MSG via HBO
Rolling Stones の LICKS WORLD TOUR 2002/03 の一環として、Madison Square Garden(MSG)でのLiveを生中継放送するという初めての試みが行われた。
27台のカメラを用いて捉えられたいきいきした映像が視聴者のテレビセットに配信された。
一台はロニー・ウッドのギターのネックに設置した小さいCCD、おもしろいアングルの画像。いろいろなシーンを即編集で放映、コンピューター時代ならでは。エンドロールを出すタイミングを間違えたのが唯一の可視的エラーだったがナマなのだからご愛嬌か。
2時間以上のステージ、休みなしに動き回っていて元気いっぱい。ストーンズといえば不良のイメージだし、実際に60年代から70年代にかけての頃はドラッグ漬けの時代もあったようだが、しかし、今はいかにも健康そうで、約150分のステージを休息なしでこなせるのは日頃からトレーニングなど行っているのだろう。不良どころか、健康管理をきっちり行っているミュージック・ビジネスのサヴァイヴァーだ。
ストーンズ、40周年だそうで、不良やってては続かない長さである。
前回観たストーンズのライブは Bridges to Babylon Tour だから、1998年のこと。その時の舞台セットはかなり派手で、今回はそれに比べるとステージのセットはとてもシンプル。
自宅の窓からみえる会場のMSGを時々横目でみては臨場感を高めながらテレビ・ライブを楽しんだ。
It's only Rock'n Roll, but I like it.
SET LIST
- Street Fighting Man
- Start Me Up
- If You Can't Rock Me
- Don't Stop
- Monkey Man
- Angie
- You Can't Always Get What You Want
- Midnight Rambler
- Thru and Thru
- Happy
- Gimmie Shelter
- You Got Me Rocking
- Can't You Hear Me Knocking
- Honky Tonk Women
- Satisfaction
- It's Only Rock'n Roll (But I Like It)
- When the Whip Comes Down
- Brown Sugar
- (encore) Sympathy for the Devil
- (encore) Jumpin' Jack Flash
Rolling Stones Official site
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Today's BGM =
LET IT BLEED by THE ROLLING STONES
2003.01.22 wed
Egg Salad // サラダの語源
冷蔵庫の中には週末に作ったゆで卵が沢山ある。これらの用途は全てエッグ・サラダ・サンドウイッチ。
ゆで卵を崩してマヨネーズと混ぜたものをパンにはさむ。パンにはちょっとだけ和辛子をぬると更に良い。以上で出来上がり。わたしの大好物である。
当分このメニューを楽しむことが出来るのが嬉しい。おまけに、卵は一ダースで $1.98と経済的。
ある食品を適当に刻んで混ぜたものをサラダという。このサラダ、語源はラテン語の塩(SAL)だという説が有力。切った野菜に塩をかけて円形のボウルに入れて食べたことが起源らしい。野菜主体のサラダが一番多いが、他にもさまざまなサラダが考案され進化をとげてきている。
エッグサラダのほかに、ポテトサラダ、ツナサラダ、チキンサラダ、マカロニサラダ、シーフードサラダ、海草サラダなどバリエーションは豊富だ。
変ったところではハネムーンサラダ。これはレタスだけがどっと盛られたサラダだそうで、つまり Lettuce Only。これは、Let us only (自分たちだけにして)と発音が似ていることから付けられた名前との事だが、サラダとしては退屈そうだが言葉の遊びが楽しい。
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Today's BGM =
FLOWERS by THE ROLLING STONES
2003.01.23 thu
天気予報のボキャブラリー
ニューヨークらしいひんやりした冬の天候が続いている。
去年は非常な暖冬で最高気温が氷点下だったのは一冬とおしてたった2日だけだったと、まるで何処か余所の土地の様だったが、今年は冬らしい空気につつまれており今週は連続最高気温が毎日氷点下である。
天気予報で、「寒い」という表現をするのも何通りもの言い方で微妙な低温の差を表現しようといった努力が垣間見える。
今日は「Bitter Cold」、激しく寒いといったところか。
明日は「Arctic Chill」、これは北極みたく凍るといったような意味なのだろうが、いくら何でも大げさ。
最低気温が華氏5度(摂氏マイナス15度)程度だったら北極では春ではなかろうかと思う。Arcticには「極寒の」という意味もあるが、いずれにせよちょっと仰々しすぎやしないだろうか。もっとも物事を誇張して表現するのは英語ではよくあることなので、夏には、Venus-like heat などという新語もつくられのかもしれない。
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Today's BGM =
UNDERCOVER by THE ROLLING STONES
2003.01.24 fri
地の塩
氷点下の日が続くと色々な液体が凍る。歩道に茶色っぽい氷がはりついていて付近にひっくり返ったカップがあるのは、誰かが落としたコーヒー。手にもって歩いていて落としたり、車に乗るときにちょっとルーフに乗せてそのまま忘れて発進して落下したカップのなれの果てにちがいない。
ハドソン川は岸に近い部分は凍ってフェリーの運航に支障が出始めているとの事。もう少し凍るとフェリーは運行を休止する。池や湖も凍っている。水道のパイプが凍って水やお湯が出なくなる家もある。
排水口の具合が悪いらしくて何かの水分がかちんかちんに凍りスケートリンク状態になっている道もある。
マンハッタン、ミッドタウンの大きな通りでは路肩付近に大量の塩がぶちまけてあるのを随所で目にする。塩は水の氷点を下げるので、路面の凍結防止の為なのだろうが、それにしても多すぎ。普通は路面全体にぱらぱらと撒くのだが、こういった大量をまとめて一気にというのは初めて見た。車も道も靴もスケートも犬の肉球もいたむ。でも、凍った道で人が転倒したり車がスリップして事故を起こすことを考えれば仕方無い。この風景を見て思ったのは「地の塩」。
「あなたがたは地の塩である」というのは、聖書にある言葉。塩は砂糖のように甘い派手な存在では無く、単体では刺激的な辛(から)さがあるだけだが、しかし、他のものと混じって役に立つ。周りに溶け込んで役に立つ無くてはならないかけがえの無い存在のものたれ、とイエス・キリストが説いたとされている。
あなたがたは地の塩である。
だが、塩に塩気がなくなれば、その塩は何によって塩味が付けられよう。
もはや、何の役にも立たず、外に投げ捨てられ、人々に踏みつけられるだけである。(マタイによる福音書第5章13節)
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Today's BGM =
SALT OF THE EARTH (from BEGGERS BANQUET) by THE ROLLING STONES
2003.01.26 sun
氷の世界、北の国
インラインスケートでハドソン川沿いの道(Hudson River Park)へ。凍った川の様子を至近距離で観察するのが目的。
川岸付近は完全に凍っていて表面を歩けそう。博物館としてハドソン川に係留している
イントレピッドの周囲はすっかり氷に囲まれ、北の海で氷に閉じ込められた空母を妄想する。
川に流れがある部分は大きな
氷塊がゆっくりと流れていく。とてもダイナミックな風景でうっとりする。所々では氷塊と氷塊がぶつかり合う。その間に挟まれたら大変だなあと思い再び妄想モードに。冬のロシアでスパイのミッションを遂行中の自分という世界にどっぷりとつかる。BGMはチャイコフスキーの交響曲第五番。うっとり。
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Today's BGM =
TCHAIKOVSKY SYM. NO. 5 by SLOVAK PHIL.
2003.01.28 tue
State of the Union Address
今日は、State of the Union Address (一般教書演説)。ほぼ全てのネットワーク局でライブ放送される。
一般教書は大統領が議会に対して国の状況や政策を報告するものでアメリカ合衆国憲法にて大統領の義務として定められているもの。
今年のテーマは予想どおりイラク一色。それに北朝鮮少々。サダム・フセインとキム・ジョンイルが如何に邪悪であるかを説明し、そして彼らの率いる国は無法政権であり最大の危機であるから団結して正義のために戦わねばならないと力説。ほかのテーマを話しても、結局は、邪悪な敵をやっつけろ、に結びつける。ジョージ・W・ブッシュ、正気を失ったかといった印象はますます強まったのだった。
Clear and Present Danger 〜 今ここにある危機、それは小藪だ。
一般教書演説 Transcript
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Today's BGM =
THEIR SATANIC MAJESTIC REQUEST by THE ROLLING STONES
2003.01.30 thu
Corduroy
会社はカジュアル服の規定なのでスーツを着る事は無い。ジーンズはダメと決まっているのでわたしの場合、夏は黒いチノパンツ、冬は黒いコーデユロイのパンツ(CORDS)を穿いて出社する。最近、コーデュロイのパンツの畝(うね)の部分が磨り減ってきたのを認識した。月曜日から金曜日まで毎日穿いて週末に洗濯というハード・ルーティンを繰り返しているのだから磨耗も当然だなあと思いながら眺めているうちに、この布の正体を探ってみたくなった。
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布にある細い畝は、波状に丸く繋がって織りあがった布の繋がり部分をカットすることによって出来上がる。小学校の時の遠足に被らされた帽子の材料ピケは、コーデュロイのカット前の織物と類似した構造。
コーデュロイという名前の語源はフランス語。Corde du Roi、つまり「王様の畝」という意味だ。歴史は古くて17世紀、ルイ十四世の戴冠式に織物業者がコーデュロイを献上し、その布を気に入った王は庭師の制服にコーデュロイを採用したのが評判になり広まったといわれている。もっとも、18世紀のフランスの文献には "corde du roi" というフレーズは見られず、逆に"kings-cordes" という英語で紹介されており、英国で発明された織物という説もあるとの事。
布自体の起源は更に古く、起毛した布は既に14世紀には司祭のガウンなどに見られたというが、いつ頃から縦筋がつけられたのか明確な記録は無いようだ。
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さて、一張羅のCORDSの磨耗部分だが、全体ではなくて腿の前面部分とヒップの部分が著しい。ヒップの部分が磨り減るのは座っている時間が長いのだから理解できる。
腿については前面ばかりすり減っていて後ろ側はウネがしっかり残っているのは何故だろうか。腿の裏側の筋肉の鍛え方が足りないのかな。
会社のドレスコードには破れた服を禁止する項目はあるが、ウネが磨り減ったコーデュロイのパンツを規制するくだりは見当たらないので当分このままでいけそうだ。何しろ、王様の畝なのだし。
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Today's BGM =
ABBEY ROAD by THE BEATLES
2003.01.31 fri
Bento Box 〜 日本語がもとになっている外来語
ランチは近くの印度レストランでインドカリーの「Bento Box」。
好みのカレー二種類、ごはん、野菜サラダ、ナーンがセットで $7.55。わたしのチョイスは、チキン・ティカ・マサラとレンティル・カレー。どちらも及第点の味、ボリュームは満点。
テイクアウトのランチのことを「ベントー」と呼ぶのが定着しつつある。
ヒバチ(小型のバーベキュー用グリル道具)、フートン(木の枠に蒲団のようなものを乗せて寝るベッドの一種)、カラオーキー(カラオケ)、マンガ(日本の漫画)などに続いて日本語がルーツの米国における"外来語"である。カミカゼやハラキリのような物騒なものから平和的ボキャブラリーにシフトしているようで喜ばしい。
「ベントー」は響きも良いしこれから更に拡まりそうに思うが、田舎などではランチ(やディナー)をテイクアウトする習慣が無いような地域もありそうなので、これは意外と都市型発展の言葉なになるのかもしれない。
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Today's BGM =
KAMAKIRIAD by DONALD FAGEN
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