2002.03.02 sat
さよなら、Lady Liberty
三月最初の週末はうっすら曇り空でマイルドな気温。窓から外を眺めていたら、今までと様子が違うのに気付いた。
居間の窓の正面に見えていた自由の女神が見えないのだ。我が家から10ブロックほど南に建築中の大きなビルに遮られて見えなくなってしまったという訳だ。
自由の女神(別名 Lady Liberty)はマンハッタン島の南端の先にあるリバティー・アイランドに立っているが、彼女が見えなくなるということは海の見える分量も減ったということだ。
このビルに住むようになった頃は周囲を海に囲まれたマンハッタン島の形がきっちりと分かるほど海が見えたけれどここ 2〜3年の建築ラッシュで随分景色が変わってしまった。
そのうち、海は殆どみえなくなってしまうのかもしれない。景色が悪くなるのも残念だが、眺望付きというコンドの資産価値が下がることもがっかりなのだ(日当たりが嫌いなのに北向きではなくて南向きの物件を買った理由は眺望つきの売りやすさを考慮したからだったのに)。
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Today's BGM = SONGBIRD by EVA CASSIDY
2002.03.05 tue
ティーンズ
米国の東半分は昨日から寒波に覆われているとのことだが、その影響でニューヨークも今朝は華氏19度(摂氏 -7度)まで気温が下がった。久々のティーンズである。
19度(nineteen)から13度(thirteen)の気温をティーンズと呼ぶ。それ以下はちょっと寒いので、このくらいが冬らしくて丁度よい。散歩日和である。
会社に行く前に Rockefeller Center に寄ったら、プロムナードの噴水の一部分がツララになっていてますます気分が盛り上がった。
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Today's BGM = MAP OF THE WORLD by PAT METHENY
2002.03.08 fri
LED LIGHTS、スパイがみているかもしれない・・・
LED (Light-Emitting Diode) ・・・
現代の一般的家庭には発光ダイオードの光が入り込んでいる。
我が家の場合、書斎の机に座り左右をみると、PCの電源、キーボード、モニタ電源、モニタ・インプットシグナル、が一見おとなしく光を放っている。
それから、ハブとケーブルモデムには夫々四つずつのLEDが激しく点滅を繰り返している。
これらの点滅するLEDは、信号の強弱だけが分かるのかというと、そうでもないらしいのだ。
米国と英国の科学者が、電子機器に用いられている発光ダイオードの点滅から通信されるデータを読み取ることができると発表している。研究者によると発光ダイオードの点滅はまるで光ファイバーのファイバーが無いようなものだとしている。光は20メートル以上離れたところからでもキャプチャできるそうで、データ読み取っていることは読まれている側に気付かれることはない。
すべての機器が該当するわけではないというものの全く油断も隙もない。
CNN.com
もっとも、ATMでパスワードを入力する様子を望遠鏡で盗み見して悪用する人もいるのだから発光ダイオードの点滅を望遠鏡で見られることも驚くには値しない。
つまり、守れる秘密というのは無い世の中ということなのだろう。自分の記憶により秘密をマネージすれば漏れるのは防げるが忘れるというリスクは否めない。脳を鍛えるのが21世紀の処世術かもしれない。
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Today's BGM = RIGHT ON TIME by THE BROTHERS JOHNSON
2002.03.09 sat
NIGHTLINE : メディアの役割
米国ネットワーク・テレビ局の深夜番組改変案が注目を集めている。
ABCで 22年前から続くまじめな報道番組「ナイトライン」を廃止し、現在その裏番組である人気娯楽トーク番組「レターマン・ショウ」を入れるという案が表ざたになったのだ。
米国三大ネットワークの週日23:30からは現在、次のようなラインナップになっている。
CBS 「Late Show(David Letterman)」
NBC 「Tonight Show(Jay Leno)」
ABC 「Nightline(Ted Koppel)」
「ナイトライン」は22年続いている質の高い報道番組だが年間1千万ドル程度の赤字を出しているという。一方のレターマンの「レイトショウ」、 ジェイ・レノの「トゥナイト・ショウ」は、どちらもコメディアン出身のホストが時事ネタを扱い娯楽性の高い番組でともに高視聴率のドル箱番組となっている。
「経済が低調基盤な時代、高視聴率の番組で利益を追求するのは企業として当然のことだ」とは当のテッド・コッペルによる声明。
営利団体であるネットワーク局とはいえ赤字番組と黒字番組の入れ替えというだけで「良識」を簡単に廃止してしまうのか、と意外感もある。
わたしはいずれの番組も観ていなので個人的な影響は無い。わたしがメディアに求めるのは「繋がっている事」にある。次に、繋がっている状態で入手可能な情報類から自分の求めるものに最も近いものを持ってくるというスタイルである。
インターネットを例にとってみると、繋がっているからといって、特に重要な情報を常に得ている訳ではないのだが、しかし、たまに繋がらない時の何ともいえない不安を感じる。テレビを点けたら何も映らないという状態はかなり不安を煽られそうだ。それだけ「ある」状態に慣れているという事だが、個別内容については選択肢さえ豊富ならひとつの番組にこだわる事は無くなってきているのではないかと思う。
何しろ、今は「ナイトライン」が開始された22年前とちがい24時間ニュースを流すCNNのようなチャンネルもあるのだから。
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Today's BGM = SECRET STORY by PAT METHENY
2002.03.11 mon
SIX MONTHS LATER : Tribute in Light
9月11日のアタックから6ヶ月が経った今日、マンハッタンでは朝と夕方に追悼式典が行われ、日暮れになると光のツインタワーが地上から天に浮かんだ。
"Tribute in Light" 追悼モニュメントのひとつである。
いきなり何も無くなってしまった空っぽの部分に優しく語り掛けてくるように感じる。
今日から32日間、日暮れから23:00までグラウンド・ゼロから約ワンブロックの位置に設置した 2セットの44基のサーチライトで照射される。
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Today's BGM = OFFRAMP by PAT METHENY GROUP
2002.03.12 tue
ペイフォン値上げ 100%
ニューヨークのペイフォン(公衆電話)の料金が今までの25セントから一気に100%値上されて50セントになった。
ペイフォンの値上は1984年以来とのこと。料金を2倍にしたかわりに一通話の長さの制限は無くなったとの事だが、公衆電話で長話するというシチュエーションは一般的には殆ど無さそうだから通話時間制限を外したことはセールスポイントとしては弱い。
100%、つまり 2倍になったという値上幅はスティープではあるけれど、公衆電話は頻繁に使うものではないので市民への経済的影響はあまり無い様に思う。
NY市民へのインタビューでも「何でも値上げだから仕方無い」といった受け止め方はしているものの「値上げで困る」といった意見は少数派みたいだった。
でも、ちょっと電話が必要なときに50セント分の小銭がポケットにあるかどうかというと疑問で、そういう意味では不便。
これで携帯電話の普及に加速がつくような気がする。日本などに比べて当地の携帯電話普及率は極めて低く、持っていない人の方が多いのだ。普及が進んだところで今度は携帯電話料金を一気に上げるのかなあ。
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夜、父親から電話。PCの電源が切れなくなった、との事。海を越えてあれこれ指示を出して20分くらいしてようやく解決。
実家は特に安い電話プランに加入していないので、NYサポセンへのコールは高くついたことだろう。
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Today's BGM = WATERCOLORS by PAT METHENY
2002.03.16 sat
ABTRONICS - No Pain, No Gain
「アブトロニクス」に代表される EMS機械が流行っている。おなかに巻きつけるベルト形のマシンで、電気仕掛けの振動波が発せられて筋肉を刺激、本人は動かないでも機械が腹筋何百回ぶんもの運動をさせてくれるというもの。それなりの効果はあるらしいという説もあり、日本でも米国でも沢山の人が買っているようだ。
でも、わたしは、こういうの「何だかなー」と思ってしまう。
努力無くして効果だけを得ようとするのは好きでない。英語の言い回しでも「No Pain, No Gain」というのがあり、物事を達成するのにはそれなりの対価(つらい練習や弛まぬ努力)が必要ということ。それを、こんな機械によって腹筋を刺激してお腹を引っ込めると言うのは思想的に正しくないと思う。
寝たままでお菓子食べ放題で引き締まった体形になろうなんてムシが良すぎる。
欲望とその結果がリンクしなくなると、人間の倫理に変化が生じるのではないかと思う。そして、その変化は決して良い変化とは思えないのだ。
わたしは、日々のエキソサイズは欠かさない。運動は、毎日ではなくて少し日を置いた方が筋肉が付くというので、メニューは2〜3日インターバルで変えている。但し、ダンベルは毎日。週末は回数も増やすので軽い筋肉疲労感が心地よい。アブトロニクス類でも、こういった運動後の心地よい疲労感はあるのだろうか。
《 本記述はわたし個人の思考、好みについて書いたものであり、アブトロニクスを始めとしたEMS機器類やそれらを使う人々の批判を意図したものではありません。》
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外からはバグパイプの音が聞こえると思ったら、今年は一日早いセントパトリックス・ディのパレード。
映画 『ステート・オブ・グレース』 を想いだし、わたしは映画の世界にワープする。
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Today's BGM = MUSIC FROM THE PENGUIN CAFE by PENGUIN CAFE ORCHESTRA
2002.03.19 tue
Corporate Challenge
コーポレート・チャレンジに参加希望者は4月5日までに HR に参加申込書を提出するように、というメールが来たのは昨日の事だ。
コーポレートチャレンジとは、JPMorgan Chase が主催、企業単位でチームを作り参加するランニング大会。
世界各地で開催されるがニューヨーク市の場合、5月15日、6月4日、6月26日の3回。いずれもセントラルパーク内 5キロのコースを走る。
5キロというと独りの時は気持ちよく走れる距離なのだけれど、こういったイベントのように観客がある時はスピードを上げて一気に走るので結構つかれる(楽しいけれど)。
参加する企業はそろいのTシャツを作り走ることが多い。わたしの勤務先でも毎年ではないが今までに何回か参加しておりわたしも過去二回のTシャツを持っている。
ひさしぶりの参加となり、とても嬉しいニュースとなった。
ところが喜びも束の間。今日になり HR からメール、当社はコーポレートチャレンジにパーティシペートしない事になりました、とのこと。経費節減の余波という事なのかなあ。がっかり。
C'est la vie....
JPMorgan Chase Corporate Challenge
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Today's BGM = SUN GODEESS by RAMSEY LEWIS
2002.03.20 wed
HP 臨時株主総会、「女性会長」が勝利宣言
HP(ヒューレット・パッカード)によるコンパック・コンピュータの吸収合併に関して19日に開かれた臨時株主総会で合併承認の株主投票が行われた結果、小差だが賛成多数であったとカーリー・フィオリーナ会長兼CEO(最高経営責任者)は勝利宣言をした。一方、会社の創業一族でHP取締役のウォルター・ヒューレットは合併反対派であり、結果は第三者機関により集計が終わるまで分からないとしている。
合併後の新会社は、15,000人程度の人員削減が予定されていることから従業員の雇用を重視していた今までのHPのコーポレートカラーと異なる方針になると社内で動揺が生じているようだ。
このニュースは日米のニュースメディアで扱われたが、日本語放送のテレビ・ニュースによると「女性会長が勝利宣言」とか「女性会長が・・・」と会長兼CEOの性別を連呼するのに違和感を覚えた。
強気のフィオリーナ会長は確かに女だが、女だからHPの会長になった訳ではなく経営手腕を買われた事によるものだ。
確かに現在のビジネス・シーンでは女性エグゼキュティブは男性に比べて少数派だし、また男性に比べて差別されることもあるだろう。Glass Ceiling 存在も否定しない。
でも、能力を認められてポジションに就いている人を名前も呼ばずに「女性会長」はないだろうに、と思う。
もし会長が男だったとしたら「男性会長が勝利宣言」という日本のニュースは無いだろうに、という事だ。
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Today's BGM = TEQUILA MOCKINGBIRD by RAMSEY LEWIS
2002.03.21 thu
エンパイヤ・ステート・ビルディング売却
エンパイヤ・ステート・ビルディングの売却が成立したとのニュース。
売り手はドナルド・トランプと横井英樹(の遺族)、買い手は現在のエンパイヤ・ステート・ビルディングの運営管理権を持つ「エンパイヤ・ステート・ビルディング・アソシエート」でレオナ・ヘルムズレーが社長なのだそうだ。
売り手も買い手も胡散臭い人ばかり。いかにも米国の不動産業界という感じでちょっと笑ってしまうのだ。
今日もESBは今までと変わりなく青白赤の米国国旗の色にライトアップされている。
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Today's BGM = SALONGO by RAMSEY LEWIS
2002.03.24 sun
OSCAR 2002
TV(ABC)で第74回アカデミー賞授賞式鑑賞。長時間の番組なのでいつもは「ながら」で観ているのだが、今年はシングル・タスクで観てしまった。
今までのエンターテインメント追求型といったショウとは異なったつくりで、今回は 「悲しみは人生の一部だと知った」、「努力〜達成〜希望」が全体のテーマとなっていて9月11日以降、変わってしまった世界を生き抜くために元気を出そうという力強いスピリットが流れていた。
オスカーの行方は、「 A Beautiful Mind 」 が作品賞を獲得。「ムーラン・ルージュ」、「ロード・オブ・ザ・リングス」、「イン・ザ・ベッドルーム」等を抑えての受賞で、ほかにも監督賞など計四部門の受賞となった。
注目の主演男優賞には、デンゼル・ワシントン(他のノミニーは、ラッセル・クロウ、ショーン・ペン等)、主演女優賞は、ハリー・ベリー(他のノミニーは、ニコール・キッドマン、シシー・スペシック等)とアフリカン・アメリカンの活躍が目立った。
シドニー・ポワティエに特別賞が授与されたのは良いとしても、主演男優賞も、主演女優賞もアフリカ系俳優という選考はやりすぎなのではないか、という声も上がっている。確かに、あからさまにアフリカ系の活躍の台頭を演出しすぎではあるけれど、でも、ある事柄をアクセレレートするためには、ある程度の人工的な力を加える必要がある。皮膚の色による差別を無くす為にはこのくらいの「やりすぎ」があって良いのだと思う。
ハリー・ベリーは「今年」でなかったら受賞は無かったかもしれない。でも、こういった年にノミネートされて歴史の一部になったというのも、その人のもって生まれたフォーチュンなのだ。
もっとも、そういう年度に主演男優賞、女優賞にノミネートされたアフリカ系ではない俳優達(ラッセル・クロウやニコール・キッドマン)はちょっと気の毒だが仕方ないのだ。
Best Song にノミネートされた4曲は全てオリジナル・アーティストによるライブで紹介されるという豪華さ。
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Paul McCartney …「バニラ・スカイ」、
- Randy Newman …「Monsters, Inc.(モンスターズ・インコーポレイテッド)」- "If I Didn't Have You" 、
- Sting …「Kate & Leopold 」- "Until..." 、
- Enya …「The Lord of the Rings」− "The Fellowship of the Ring"
そして受賞は 「Monsters, Inc.」。
過去に16回ノミネートされながらも受賞は今回がはじめてとなる Randy Newman。 おめでとう!! 誰もが今回のオスカーの中で一番素直に無条件に喜べると思ったのではないかな。
受賞曲のシンガーは、John Goodman、歌が上手なのにびっくり!
演出も出演者もすばらしくて4時間半の番組はあっという間に終わってしまった感じを受けたが、出し物の中で一番良かったのが、CIRQUE DU SOLEILのパフォーマンス。
彼らのパーフォーミングアートはもともとすばらしいものだが、今回は、アカデミー賞にあわせて、大スクリーンに映し出されたSFほかのヴィジュアル・エフェクトたっぷりの映画クリップを背景に、それらの映画とぴったりのパフォーマンスを繰り広げる。こちらはもちろんSFXなしの生身の人間。あまりのすばらしさに、口をあんぐり開けたまま瞬きもせず見入った。完成されたパフォーマンスの美しさはもちろんであるが、訓練により人間はここまで出来るのか、という感動も深い。
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Today's BGM = TROUBLE IN PARADISE by RANDY NEWMAN
2002.03.26 tue
MATZO で知る春の到来
ランチを買いに近所のサンドイッチ&スープの店に入った。その店ではスープを買うとフランスパンが付いてくるが、今日はそのパンが置かれている棚の横にマッツォ(MATZO)が沢山ならべてある。
そうだ、明日は Passsover (過ぎ越しの祭り)の始まる日。
会社が忙しくて季節の変わり目にいたことすらうっかりしていた。
MATZO(マッツォ)は Passover には欠かせない食べ物。薄手のクラッカーのような外観で実は所謂「種無しパン」。
モーゼがユダヤの民を連れてエジプトから脱出した時にパンを焼く時間もないので生地だけ持ち、砂漠を旅するあいだ、太陽でその生地を焼いて食べたのが由来。
そして、出エジプト(奴隷にされていたエジプトから脱出してパレスチナに着き自由の身になる)の出来事を忘れない様にという行事が「パスオーバー」。
今週末は MATZO BALL のスープを食べよう。それから映画「十戒」を観よう。私が春の到来を感じるのはこの時期なのだ。
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Today's BGM = SAIL AWAY by RANDY NEWMAN
2002.03.27 wed
MINI COOPER
ミニクーパーはやはりかわいい。
こんな状態だと更にかわいらしさが際立つ。
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Today's BGM = LITTLE CRIMINALS by RANDY NEWMAN
2002.03.26 tue
イースター & ゆで卵
イースター・サンデーのニューヨーク市は朝から曇天、ちょっとイースターのイメージにあわない空模様となった。
金曜日に十字架にはりつけにされたイエス・キリストの復活を祝うものだが、イースターバニーやパステルカラーのお菓子といった春の陽光に似合うグッズが多い。ウサギの形のマシュマロウやカラフルなキャンディーをつめたイースターバスケットが売られているが、
何と言っても主役は、ゆで卵。庭の草むらに隠してみつけるという古典的なイースターの「行事」はいまでも行われているのだろうか。
小学校のときに教会でゆで卵に色を塗ったのを思い出すが、以降イースターの行事に関与した記憶はない。
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ゆで卵と生卵の見分け方は、テーブルの上などで回転させてみて立ち上がればゆで卵となる。
このゆで卵が立ち上がる理由が、最近、解明されたようだ。慶応大学の流体物理学教授らが数式を使って説明することに成功したとのことで、数世紀にわたり学者たちを悩ませていた問題にケリがついたらしい。
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Today's BGM = DRAWN FROM LIFE by BRIAN ENO
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