『 恋におちたシェークスピア 』

Shakespeare In Love (1998) USA、2hrs. 2min.



1593年、舞台劇が民衆の娯楽として定着し、若き日のウイル・シェークスピア(ジョセフ・ハインズ)は舞台劇作家として職を得ていたが、 スランプに陥り一行も書けなくなっていた。雇い主であるローズ劇場のオーナー、フィリップ・ヘンズロー(ジェフリー・ラッシュ)も金策に苦慮するようになってきており、ウィルによる傑作が待たれるところだが、アイディアがわかないシェークスピアは苦しむばかりだった。 そんなある日、シェークスピアのコメディーを上演中の劇場の観客席で詩を口ずさむ女性ヴァイオラ(グウィネス・パルトロウ)が彼の目をひいた。

新作の構想が少しずつ形になり始めたころ、オーディションにトマス・ケントと名乗る応募者がやってきた。 トマスの演技に注目したウイルは彼の後をつけると、トマスは裕福な商人の屋敷に入っていった。ウイルはそこで、あの日の女性ヴァイオラと再会する。 そして、二人は一瞬にして運命的な恋におちた。

トマス・ケントの正体は実はヴァイオラだった。当時、舞台に上がるのは男性のみにしか許されていなかったが、演劇好きで役者になりたい夢をすてられないヴァイオラは、男装してオーディションにやってきたのだ。 しかしウイル・シェークスピアはそんなことは知るよしもなく、ケントにヴァイオラとの恋の話をするのだった。

ヴァイオラと出会い、創作再開となったシェークスピアのペンは流暢に「ロミオとジュリエット」を書きすすめ始める。 現実のヴァイオラとウィルの恋愛がそのままペンと紙を通じて戯曲化されていくところの展開が良い。 情熱的に愛情交換をする2人の言葉がそのまま戯曲になり舞台上のリハーサルになっていく。シェイクスピアの言葉はロミオの台詞としてトマスの口から語られる。 この映画の中で一番流れが美しい部分だ。

シェイクスピアのペンは絶好調で進んだ。当初注文の海賊コメディーと異なった悲恋物語にはじめは難色を示した劇場主ハインズローも、「ロミオとジュリエット」のストーリーにすっかり魅了されていた。 巡業に出ていた花形役者ネッド・アレン(ベン・アフレック)も戻って来てローズ座は一気に活気を取り戻す。 ロミオとジュリエットの初演が間近に迫った時に、ローズ座に役人がやってきた。 トマス・ケントが実は女性であることが役人の知るところとなりローズ座は閉鎖を申し渡される・・・

第71回(1998年)アカデミー賞で、最優秀作品賞、主演女優賞(グウィネス・パルトロウ)、助演女優賞(ジュディ・デンチ・・・エリザベス女王役) 他合計7部門を獲得した作品。
良く出来たライト・コメディーだとは思いますが、アカデミー賞を総なめにするようなパワフルさは見出せませんでした。映画の好みは個人的なものですから。

dir: John Madden

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