『 プリンス・オブ・エジプト 』

Prince of Egypt, The (1998) U.S.A. 1hr. 48min.



モーゼがヘブライの民をエジプトから脱出させる「出エジプト記」のアニメーション化。

エジプトのプリンスとして育ったモーゼは、実は自分はヘブライ人奴隷の子であり事情により川に棄てられていたのをファラオの王女に拾われ、王家で育てられたという過去を知る。 自分の運命は、同胞を救うことにあるならば、兄弟として育ったラムセスとは敵対してしまう。 モーゼは悩むが、神との対話を経験し、運命を受け入れ愛する兄弟とは別々の道を歩む決心をする・・・

ミュージカル仕立てだったことを知らないで観たので最初はあっけにとられた。 そして、いきなり歌い出す登場人物には実は映画が終わるまで馴染めなかった。歌自体は悪くないが劇の途中で突然歌を歌うということがぴんと来ない。好みの問題でしょう。

それ以外はなかなか良かった。モーゼが自分の出生の秘密を知った夜にうなされてみた夢は、自分が壁画の中に入っているというもの。 人物は必ず横向きという例のエジプトの壁画だ。この部分はとても独創的で面白く思った。 モーゼが自分の運命に従いヘブライの民を救う決心をするきっかけとなった、神とのコンタクトのシーンは神秘的かつ感動的。 無神論者であるわたしもくらっときてしまいそうな演出に脱帽。 見せ場である紅海が割れるシーンは想像以上。水はアニメとは思えないリアリティーがあったが、海はただ割れてモーゼと民に道を作るだけでなく空まで届くような海水の上昇は、奇跡は実は竜巻によったのではという仮説を打ち立てているのだろうか。 そういう訳で、割れ方は、いままで想像していたよりかなり派手。

大筋は聖書に記述された話を忠実にフォローし細かい部分に脚色やイマジネーションを盛り込み、しっかりとした作品に仕上がっている。 聖書の知識やエジプトの歴史的のバックグラウンドが無い人だと、ストーリーの持つ重厚さは届かないかもしれないが、CGや画像レイアウトの新鮮さを楽しむだけでも充分に価値があるだろう。

ドリームワークス作品


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