---
ユージン・シモネット(ケヴィン・スペイシー)は社会科の教師。新しく赴任した中学の授業で「君たちの手で何か世界を変えるアイディアを出す」という課題を生徒に与える。 トレヴァー(ハーレイ・ジョエル・オスメント)が考えたのはシンプルだけれど画期的なアイディアだった。それは「ペイ・イット・フォーワード」。自分が出来る範囲で自分の周囲の三人に手助けとなる親切な行いをする。助けられた側は、助けた人に直接の恩返しはせずに別の三人に対して何か善い事をする。 Pay It Forward … 先に送るというもの。次の三人は夫々が別の三人に、と善意が広がっていくというマルチ商法タイプの考えだ。 トレヴァーは自らこの理論を実行していく。*
取材中に自分の車がぺっちゃんこになってしまったクリス・チャンドラー(Jay Mohr)が途方にくれていると通りかかった一人の紳士が新車のジャギュアを差し出した。 「死体でも入っているのか?!」というクリスに紳士は、Pay it forward だ、と言う。 かくして記者クリスはペイ・イット・フォーワードに興味を持ち取材を始めた。*
舞台はラス・ヴェガス。華やかなネオンサインと対照的な貧民街がある砂漠の町で、金持ち、貧乏人、アル中、ホームレス、服役中のチンピラ、そういった人々が「ペイ・イット・フォーワード」に関わった話が同時進行する。 "Pay it forward" はいつしか運動(movement)となり地域を越えて広まっていたのだった。 ジャーナリストに新車を提供した紳士は金持ちサイド、トレヴァーが最初に助けたホームレスは貧乏サイドの代表だろう。 トレヴァーの母親アーリー(ヘレン・ハント)はウエィトレス、アル中を克服しようと努力をしているが疲れて家に帰るとつい酒瓶に手が伸びてしまう。 顔に大きな火傷の痕があるユージンは几帳面だが何か暗い過去がありそうで心を閉ざしている。 トレヴァーの次の「ペイ・イット・フォーワード」は、母親とシモネット先生のマッチメーカーだった。---
ちょっとだけ勇気を出して、一歩を踏み出せば世界を変えることができるかもしれない。「自分にも何かが出来るのではないか」そんな気持ちになれる映画。 ただ、エンディングはトレヴァーを現代のイエス・キリストとして捉えたのか、あるいは話を美化するためなのか意図ははっきりしなかったが、別の終わり方があるのではないかと思った。