SUMMARY:

原子爆弾を世界で初めて開発し「原爆の父（Father of the Atomic Bomb)」と呼ばれた理論物理学者オッペンハイマーの人生を描く歴史・伝記映画。


STORY:

映画は1954年に密室で行われた聴聞会からはじまる。主人公オッペンハイマーはすでに原爆の開発に成功した科学者だ。聴聞会の目的は、彼に国家機密へのアクセスを認可しつづけるべきかを判断するというもの。 過去の言動をまとめた膨大な資料をもとに、オッペンハイマーは質問を浴びせられていく。そして、時間を遡り彼の人生がひもとかれていく。

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幼少期から天才と言われていた主人公は大学では化学を専攻したが、卒業後は理論物理学に進みブラックホールの研究などを行なっていたが、第二次世界大戦が始まると、かつてない最強の大量破壊爆弾を作るという米国政府のマンハッタン計画に携わることになる。

オッペンハイマーの優秀さは誰もが疑うことはなかったが、一方、彼は私生活において問題があった。カレッジ・スイートのキティと結婚して子供もいるのに、ある女性研究者ジーンと恋愛関係になり逢引を重ねていた。彼女は共産党員だということもあり、のちに彼にとり大きなネガティブ・ポイントとなる。

オッペンハイマーはニューメキシコのロス・アラモスを研究拠点に決定し、潤沢な予算も与えられており研究と開発を進めていく。多くの優秀な研究者たちが集められ、オッペンハイマーの天才的な頭脳と優秀な研究者たちの相乗効果で原子爆弾の開発は順調に進んでいく。

1945年7月、人類史上はじめての核実験であるトリニティ実験が行われた。この映画のハイライトとなるこの実験は優れた映像表現で再現されている。関係者と同様に自分もその場にいるような臨場感だ。

実験は大成功で、オッペンハイマーは賞賛を浴びるが、彼や他の研究者たちはこの爆弾の恐ろしさに気付くこととなった。

広島と長崎に原爆が落とされ、その影響に衝撃を受けたオッペンハイマーは、トルーマン大統領に核兵器の国際的な管理を呼びかけるものの、問題にされないどころか危険人物のタグをつけられてしまう。政府はより強力な水爆開発の推進に力をいれているが、オッペンハイマーはこの開発に反対を唱え、赤狩りのターゲットとなり、公聴会にかけられてしまう。関係のあった女性ジーンが共産党員であったことも問題視されたのだった。

オッペンハイマーはスパイ容疑や共産主義者であるという疑いは晴れたものの、国家機密へのアクセスの更新はなされず公職から追放され、それまでの栄光とは異なる抑圧された生活を送ることとなった。


IMPRESSIONS：

クリストファー・ノーラン監督作品の常として映画は長い。本作も3時間の作品だが、しかし、3つのセグメントからなっていて長さはあまり感じなかった。非常によくできていて見応えのある作品でゴールデン・グローブ賞5冠という高評価も納得。


REMARKS：

ノーラン監督のオリジナル脚本による作品だが、参考とした書籍として『オッペンハイマー 「原爆の父」と呼ばれた男の栄光と悲劇』（カイ・バード（ジャーナリスト）、マーティン・シャーウィン（歴史学者）の共著）をあげており、映画の母体となった作品と言われている。

尚、映画の中で広島と長崎への原爆投下が行われたという説明はあるが、現地の場面映像はひとつもない。

ゴールデン・グローブ賞で5冠となった作品。オスカー(96th Academy Awards・Mrch 11, 2024)最有力候補でもある。



Amazon.comの配信で鑑賞。

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CAST：

Cillian Murphy ... J. Robert Oppenheimer
Emily Blunt ... Kitty Oppenheimer
Robert Downey Jr. ... Lewis Strauss
Alden Ehrenreich ... Senate Aide
Conti Tom Conti ... Albert Einstein
Florence Pugh ... Jean Tatlock
Matt Damon ... Leslie Groves
Rami Malek ... David Hill
Casey Affleck ... Boris Pash
Gary Oldman ... Harry Truman

Director: Christopher Nolan