『 チャイナ・クライ 』

China Cry: A True Story (1991) UK、1hr. 43min.



日本軍占領、そして文化大革命という中国激動の時代に思想的迫害を受けながらも自由を信じ強く生き抜いた女性の自叙伝の映画化。 思想の自由を奪われた経験のない我々は如何に平和な人生をおくっているのかと痛感する。

Sung Neng Yee (Julia Nickson-Soul)は裕福な医者一家の一人娘として上海に生まれ、プリンセスのような少女時代を過ごしていた。 1941年、日本軍により Sungの一家の財産は全て没収され屋敷を追われる迄は。

9年後の1950年、中国では文化大革命が起きようとしていた。 Sungの一家は上海で貧しいながらも平和に暮らしていた。 人々は共産主義がいかに国家に有益であるかに興奮していたが、Neng Yeeの両親はいかなる政治思想にも堅く口を閉ざしていた。 大学生になった Neng Yeeは、香港の富裕層の家庭から本土に留学に来ている Lam Cheng Shen(Russel Wong)と知り合い愛し合う様になる。
1953年、Nengは3番目の優秀な成績で大学を卒業、二人は愛し合う様になり結婚、長女を妊娠した。 しかし、その頃より政府の思想の自由に対する迫害は激しくなってきた。 ある日、Nengの父親であるドクターを病院に訪ねたNengは、父親が掃除係にされていることを知り愕然とした。 娘をミッション・スクールに入れていたドクターは政府への反抗分子だとみなされ地位のある立場を剥奪されたのだ。 クリスチャンだったNengも留置され厳しい取り調べを受ける。国外旅行の自由も無くなった。

Neng Yeeへの迫害は、結婚相手が共産党員では無く、ホンコンの人であった事から更に激しくなる。 そんなある日、Nengは行方が分からなかった父親と再会する。しかし、父親は新薬のモルモットにされ副作用で大出血の結果死亡する。NengとChengの二人目の子供が産まれて一ヶ月の時だった。 Cheng Shenが父親の危篤の為に香港に行く事になった。子供を連れて二人でホンコンに30日間滞在する為の申請を提出したが、逃亡の恐れがあるとして、Nengに出国許可は下りなかったのだ。 そして、彼がホンコンに居る間、Nengが中国から逃亡する恐れがあるとして、その間、三人目の子供を妊娠していたNengには教職から石の切り出し工事現場の重労働へと配置変えが行われた。 その方が監視が行き届くからである。
石の切り出し現場の労働は耐え難い日々だった。 激しい労働の日々だが、希望を捨てないNeng。全ての中国国民に与えられる事が労働規定で定められた6日間の出産休暇と香港行きの申請を出し、根気良く待つNeng。

1958年、Nengは出国許可をようやく手にし、香港へ向かい Cheng Shenと再会。自由社会で第3子を出産、その2年後、彼女の母親も香港への脱出に成功した。 中国国民が自由を求めて蜂起した天安門事件が起きる何年も前のことであった。

中国の人はこれだけ迫害を受けても中国の大地を愛する心を持ち続けます。 この映画の中でも、文化大革命は起きていてもまだ国外には大分自由に行ける時代においても敢えて中国に住みつづけ命を落とす人が描かれていました。愛国心なのか愛土地心なのか。 それにしても中国の女性は強いです。

dir: James F. Collier

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