『 アメリカン・サイコ 』

American Psycho (2000) USA 1hr. 41min.



80年代バブルまっさかりの Wall Streetは、お金と物質が全てだった。 27歳のパトリック・ベイトマン(クリスチャン・ベール)はハーヴァード・ビジネススクールを出て一流証券会社ピアース&ピアアースのブローカーとして成功しアッパーウエストサイドの高級アパートを手に入れ、一見何不自由ない生活を謳歌しているように見えた。 毎朝のヨガとシャワーの後アルコール・フリーの化粧品とパックで若さを保つことは欠かさない。身につける衣服や持ち物も一流ブランド品でかため、彼にとって自分を良く見せることが何よりの関心事なのだ。 食事もいかに高級有名レストランに詳しいかが自慢となる。 しかし、そういった高級レストランでの友人たちの会話の内容は空虚で次第に彼は満たされなさを実感する。 実は彼は斧やチェーン・ソーで殺人をするという抑えがたい暴力的衝動を内に秘めていたのだ。

欲、外見、マテリアリズムの極地の世界の描写はユーモラス。 そして経済的には何の不自由もない生活を手に入れ望みどおりのライフスタイルを送る主人公が空虚さを感じ奇行にはしる様子との対比は興味深い。 行方不明になった知人の聞き込みのためにベイトマンのオフィスを訪れる刑事役のウィレム・ダフォーだけが現実感を伴っており、バブリーな人々が更に強調される効果が演出されている。 かなり風刺がきいた内容なのをコミカルにつくり軽い仕上げにしたところが成功しており、彼の住むアパートのインテリアがわたし好みな分、映画に対する評価も少し上がっているかもしれないが、全体的に、かなり良く出来た作品。 ブレット・イーストン・エリスのベストセラー小説の映画化。

dir: Mary Harron
(22APR01)