『 13F 』

Thirteenth Floor, The (1999) U.S.A. 1hr. 40min.



天才的コンピュータ技術者ハノン・フラー(アーミン・ミュラー・スタール)が何者かに殺される。 彼が死んだことで会社を受け継ぐ事になる部下だったダグラス(クレイグ・ビアーコ)に嫌疑がかかる。 事件の鍵はコンピュータの中のヴァーチャル空間である 1930年代にあるとにらんだダグラスはフラーが開発したヴァーチャル・リアリティーの世界に侵入して真相を探る。

現代場面は白、メタリックなグレイなど無彩色主体でブルーを基調とした照明効果が美麗。 ヴァーチャル・リアリティーの世界に入る時のグリーンのグリッドに覆われたコンピュータ・ルームも素晴らしく心地よい映像だったし、 ワープする1937年のロス・アンジェルスはセピアがかった色調が美しい。

主演男優が苦手なタイプなので脇を固める俳優陣に余計に目が行った。 アーミン・ミュラー・スタール(『シャイン』、『ピースメーカー』他)が出てくると画面が引き締まる。 ダグラスをコンピュータの世界に侵入させるオペレーター役に大好きなヴィンセント・ドノフリオ(『MIB』、『Ed Wood』他)。

ダニエル・F・ガロイの小説「模造世界」を原作としており、 映画全体の雰囲気は、『マトリックス』、『ペギー・スーの結婚』、『トゥルーマン・ショー』、『ブレードランナー』あたりを を彷彿とさせる作り。画面の色調は 『GATTACA』に限りなく近い。

アイディア自体は特に新しくないSFだが、話の展開がなかなか良くできている。 わたしも時空をさまよいながら100分を楽しみ、観終わったあとは哲学的瞑想にふけることが出来るという一粒で二度美味しい映画。

dir: Josef Rusnak
(08/25/00)

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