D I A R Y - M a y 1999
may 1 99 saturday
ゴールデン・ウィーク
日本では、四月の下旬から五月の第一週目にかけての数日間を、「ゴールデン・ウィーク」と呼ぶ。 語源はというと、一週間の間に飛び石状態で休日が3日あり、土曜日や日曜日との組み合わせ次第では連続した休日となり、かつて、今のように休暇をとる習慣が無かった日本においては、まさに黄金の一週間だったのだ。
ところが、最近の日本は、政府が休日作りに熱心で、7月には祭日が無い、というだけの理由で「海の日」なる休日を作り、更に、数年前から、「休日と休日の間の日は休日にしちゃう」という法律が出来たそうで、従い、従来の、5月 3日、5日は飛び石連休から、3、4、5の三連休へと大変身したのだ。 こうなると、ゴールデン・ウィークという名前は的確ではなくなったので、近々プラチナム・ウィークに改名・・・という話はまだである。
日系の会社の米国オフィスに所属する勤め人たるわたしの場合、休日は現地のカレンダーどおりであるから、ゴールデンなんて無縁で、むしろ、月末、月初で忙しいダークなウィークだ。 ただし、対本社の報告は通常第二営業日とか5日期日というものも、全て、東京時間の6日が提出期限になるので、若干の猶予はある。
may 3 99 monday
NYダウ 11000ドル台
今日、NYダウ平均株価終値は $11,014.69とはじめて11000ドル台をつけ、またもや最高値を更新した。 米国が好景気なのは違いはないが、今の状況は景気の裏付けを越えた高値であり、ディ・トレーダーによるところ多である。 不動産も極めて活発に売買が行われており、マンハッタンの不動産価格はここ3ヶ月で1〜2割は上昇しているだろう。 2年前と比べてたら5割〜10割アップのところもあり、とってもバブリー。
ダウが1万ドル台をつけたのが3月末だったから、一ヶ月強で1000ドルアップしたことになるが、このまま、一ヶ月に千ドルずつあがるわけはないのだが、それでは、一体いつシーリングに到達するか・・・ それは、やはり7月頃なのだろう。恐怖の大魔王とは米国の株価暴落に端を発した世界恐慌ののことなのではなかろうか。
may 8 99 saturday
消防士のクッキング
いつも土曜日の朝に食料品などを買う店「アーミッシュ・マーケット」の前に消防車が停まっている。でも、雰囲気は平和。 店が火事なのではなく、消防士たちの食材買出しだ。消防の料理はかなり本格的らしくて、本も沢山出ているし、ときどき、催しも行っている。
何故消防士がクッキングかというと、待機時間が長いのでその時に美味しいものを作ろうということなのかな、と漠然と考える。 それにしても、店内はいつもと同じ店とは思えないほど狭い。消防士たちは皆大きいうえに、火からプロテクトする為の衣服を身にまとっている。 そういう人々が何人も店内で熱心に食料調達するのだから通常の日々とはちょっとオモムキが異なる景色であった。
may 10 99 monday
馴染みの・・・
馴染みの店では、久しぶりに行ってもちゃんとこちらの嗜好などをしっかり覚えていてくれて、何も言わないでも好みの品を出してくれる。 なんかほっとしたりするものだ。
今朝は、そういった馴染みの処にて久しぶりに朝食調達。 どうして久しぶりなのかと言うと、最近、別の場所で美味しいマフィンを発見したものだから1ヶ月くらいご無沙汰していたのだ。 そのドーナツ・スタンドは毎朝 51丁目と七番街の角に店を開く。 類似のスタンドは多いが、そこは余所より美味しい品揃えでわたしのお気に入りなのだ。
今朝、ひさしぶりに寄ったところ、わたしが口を開く前に「Cinnamon Donuts?」と言いながら、笑顔で品を袋に詰める。 もちろんシナモン・ドーナッツはわたしが毎朝買っていた朝食アイテムだ。 こちらも笑顔でブラウン・バッグを受け取りにこやかな雰囲気で一日が始まった。 ここのスタンドは行列が絶えないのは、美味しいだけでなく、売り子の愛想良さも多いに関係しているに違いない。
may 15 99 saturday
ストリート・フェア
暖かくなってくるとマンハッタンではあちこちでストリート・フェアが開かれる。 何ブロックにもわたって車道を閉鎖して食べ物、服飾品の店を主体とした売店が並ぶ。
今日は、わたしの住むアパートのあるすぐ裏手のアベニューの交通を遮断してかなり大掛かりなフェアが開催されているので午後から散歩を兼ね偵察とした。 食べ物の店はイタリアン、メキシカン、中近東、タイ・フードなど、おいしそうなものばかりだ。 ファラッフェル(中近東の料理。チック・ピーをつぶして揚げたたもの)3個で1ドル50セントとタブーリ(中近東風サラダ。パセリ、トマト、タブーリという穀物風のものがドレッシングであえてある)一人前3ドル、それにゼポレス(イタリアの揚げパン)4個2ドルを買う。 ジューススタンド、アイスクリームの店も陽射しの下にはえる。Tシャツ、ソックス、などの衣料品、ビクトリア・シークレットの下着類も並ぶ。 シルバー・ジュエリーの店も繁盛している。
沢山の人出なので警察官もパトロールに出ているが、冬と違い笑顔のパトロールだ。
may 19 99 wednesday
スターウォーズ・エピソード 1
今日、米国でスターウォーズ 17年ぶりの新作が封切られた。 前売券も回線がパンク寸前になるほどの大人気でファンの盛り上がり方ははんぱではなかったようだ。 劇場内では、キャラクタが登場する都度歓声があがったとのことで、取敢えずはヲタクが詰め掛けたお祭り状態だった模様。
スター・ウォーズに熱い眼差しをおくったことの無いわたしだが、テレビで昔の「スターウォーズ」のスペシャルエディションが放映されていたのでチャンネルを合わせてみた。 そこで大発見をした。 フード付の茶色のケープをまとった白髪、白髭の中世の修道僧みたいなおじさんが荒地を歩いているシーンだったが、そのおじさんは「THE FIFTH ELEMENT」(Luc Besson監督の)に出てきた謎の鍵を握る「司祭」そのもの。 フィフスエレメントは、ベッソン監督がそんなイタズラをしていたとは知らないまま4〜5回観た。 今日は、そういう訳でひとつ収穫があった日となった。
may 21 99 friday
縫い目の問題
靴下が正しく履けていないと、縫い目部分が指の関節の上や爪との境目辺りに来ちゃったりして、かなり不快な思いをする。 大抵の場合は、斜め方向などにソックスを引っ張り上げるだけで縫い目の位置が修正され不快感は解消することが多いので、人前で靴を脱いだりしないで済み、この問題は比較的簡単に解決することが出来る。
ソックスで始末が悪いのは、勝手に脱げてくる場合だ。一見まともな姿をしているので安心して履いて外出すると、10歩も歩かないうちに靴の上にあるべき部分が殆ど靴の中に移動してしまい、踵部分が露出しかかったりするタイプだ。 以前は、これはゴムが緩んでいてずり下がってしまうのだと思っていた。 しかし、これはどうも正しい推測では無かった。何故なら、新品のソックスでも起きる現象だという事が分かったのだ。 また、ゴムの状態については、結構ゴムのきつ目のソックスでも起きるし、また、ゴムがゆったりしたソックスでも全然ずり落ちないものは落ちないのだから。 これは、縫い目の問題のようだ。ソックスの縫い目には要(かなめ)といえる部分があり、そこがぴしっと決まってないと全体にしまりの無い靴下となってしまい、靴の中で行儀良くしている事が出来ず、歩くとずるずるとなってしまう様だ。
こういったソックスで外出してしまった時の対処法はひとつしか無い。脱いでしまうことだ。素足では履けないような靴の場合は速やかに別のソックスを買い履き替える以外無いのだ。 そして、件のソックスは再び履いてしまい同じ悲劇が起きるのを防ぐ為に廃棄処分にする事が重要だ。
may 25 99 tuesday
シュー・リペア
靴の踵が摩耗したのに気づき、アパートの近くにあるシュー・リペア・ショップに寄ってから出勤。 深緑色のビニールの椅子はところどころ破れていて、時代がかったカウンターの後方には、古色蒼然とした使い良さそうな棚が壁面を覆っている、そんな店だ。 ブロードウェイ劇場街に近いからか、ショウ・ウィンドウにはブロードウェイ・スターのサイン付き写真がたくさん並べてある。みるからに地域に密着した専門店の感じだ。ダンサーなどのサイン付き写真があるといかにも靴の手入れが上手そうな店というイメージが高まる。 写真の横には一組のダンスシューズも飾ってある。大きな水玉模様のかなり使い込んだシューズ、一体誰がどんな舞台で履いていたのだろうか。今度尋ねてみよう。
靴の踵の修理代金は5ドル。日本の半額以下ではないだろうか。技術は確かだ。 アメリカでは、こういった昔ながらの職人芸が要求される仕事の対価が日本と比べて大分安い様に思う。 店の奥には靴墨のついた作業着姿のおじさんがこの道何十年といった感じの風格を漂わせている。 このような専門店の人々は自分の技術に誇りをもっているからだろうが、たいてい愛想が良い。 マニュアル化された大型専門店とは違った、こういった人との交流があちこちに残っているのがニューヨークが活き活きとした街でいられる理由のひとつなのだと思う。
may 30 99 sunday
濡れ物好み
急に夏が来た。 通常は、ニューヨークは5月中旬くらいには夏になりかなり暑くなるのだが、今年はずっと涼しい日が続いており楽な思いをしていたのだった。 しかし、この週末から突然暑くなり、天気も晴れ、最高気温は摂氏30度超という連続だ。 月曜日がメモリアルディの休日による三連休となった為もあり絶好の行楽日和と言う訳だ。 だからという事でもないのだが、リバティ・アイランドに行ってきた。ここは、自由の女神像が立っている小島でマンハッタン最南端からフェリーで10分ほど。
島は思ったより大きい。女神像は島の東端に東向きに設置されている。像の中は階段で王冠の部分まで上がれる様になっているが、行った時間が遅かったのでそれはクローズとなっていた。
John Lennon が "Working Class Hero" の Tシャツを着て立っていたのはこの辺かしら等と想いをはせる。 ベンチに腰掛けそよ風にふかれながらマンハッタン・スカイラインをしばし眺めているのは結構心地よい。 かもめものんびりと波打ち際で立ったりすわったりしている。平和な世界だ。
女神像の後方は公園になっている。木と木の間にホースをわたし、そこに小さな穴をあけて即席シャワーが出来ていた。炎天下、冷たい水は気持ち良い。 次から次へとその下を気持ち良さそうな笑顔で通る人たち。 こちらの人々は濡れるのが大好きだ。街中でも消火栓を勝手にこじ開けて盛大なインスタント噴水を作り戯れるのはニューヨークの夏には必ず見られる風物詩なのだ。
これは、日本ではちょっと見られない光景だ。わたしの経験で言えば、日本の人は一般的に濡れるのを極端に嫌がる様に思う。 ただし、これは日本の風土に多いに関係があるのかもしれない。 つまり、高湿度の日本では空気中の水分が殆ど飽和状態なのでいったん濡れるといつまでも乾かないので濡れるのを避ける習慣が培われたのではないかと思った。
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