2003.04.03 thu
噴水復活
昨日あたりからマンハッタンの街角にある噴水系の装置に水が戻った。
去年の夏から何ヶ月もの間、水不足が理由で市の全ての噴水は水を止める事が命令されていてどこの装置も干からびていたのだ。雪ばかり降った今年の冬は雪かきに市の予算は赤字がかさんだものの水不足は解消した。雪のおかげで今年の夏は噴水が楽しめそう。
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Today's BGM =
THE GLOW by BONNIE RAITT
2003.04.04 fri
SARS
マンハッタンのチャイナタウンで中華料理店を経営する Chivy Ngo さんは、自分へのお悔やみの言葉を沢山受け取ったりと戸惑いの一週間を過ごした。
事の始まりは4月1日、火曜日にマンハッタン中を駆け巡ったチャイナタウンで
SARS (Severe Acute Respiratory Syndrome) 死亡一号が出たと言う話。
原因不明の肺炎SARSがとうとうNYに上陸、今日、一人目の死亡者が確認された。死んだのはチャイナタウンにある「チャイナタウン」というレストランの関係者だそうで中国の旅行から帰ってきたところだったという。「チャイナタウン」(レストランの)には行かないようにと地域の人たちの間に伝えれれている。
わたしも会社の中国系同僚から上記のような「極秘ニュース」を聞かされ気分が大いに動揺したものだった。ニュースメディアに出ないのはどういう訳か、とその同僚に尋ねたら、チャイニーズは届け出とかをしないからと言われてそういえば消費税も支払わないところが多いし、と納得していたのだった。ところが、実は死亡もSARS感染も出鱈目だったという事が今日ニューヨーク・タイムスに掲載されていた。
チャイナタウンの誰かがインターネットに流した嘘があっという間に広まり、犯人も犯行を言い出せなくなっているうちに収拾がつかなくなったらしい。死んだ事にされた Mr. Ngo は1975年にベトナムから米国に移住し、チャイナタウンで中堅のレストランを経営しているという人。チャイナタウンはその地理的条件から911ではビジネスに大きな影響を受けた処が多く、Ngo さんのレストランも事件の後6週間は店をクローズせざるを得なかったといい、ようやく最近になりリカバーしたところだったという。今回の悪戯情報はチャイナタウンは危険だから行かないようにしようと促しており、現実で無いことで人々を惑わす悪質なものだとコメントしている。
チャイナタウンではSARSが広まり出してからレストランなどの客足が途絶え経済的ダメージを受けている店が少なくないというが、一方では「SARSに効く」というHERB(漢方薬)が良く売れているとの事で、何事にも両面があるという訳だ。
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TUBLER BELLS by MIKE OLDFILELD
2003.04.06 sun
DAYLIGHT SAVING TIME
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今日から Daylight Saving Time が始まった。四月の第一日曜日の02:00が切り替えタイミングとはいうものの、実際には、01:59の次は03:00になるので 02:00は存在しないばかりでなく一日が23時間になってしまうという奇妙な日となるのだ。
米国のほかにも欧州の国々など世界のほかの地域でも実施されているシステムで Summer Time(夏時間)と呼ぶところも多い。夏の間だけ時計の針を一時間進めるというものだが、その理由、起源、名称などについては間違った理解をしていた事もありそうだ。
- 事象
夏の間だけデイライト(昼間)一時間を朝から夕方にシフトする。
この場合の夏とは4月の最初の日曜日から10月最後の日曜日まで。米国内のタイム・ゾーンでは夫々の時間にしたがいデイライト・セービング・タイムにスイッチされる(全国一斉ではない)。また、国によって、夏時間に切り替えるタイミングが異なりその国のある緯度がガイドラインとなっている。
- 目的
昼間の光を有効利用しようというもの。現在では9-5で働く社会人が仕事の後にアウトドアアクティビティーを楽しむことが出来るというのがメイジャー目的のようだ。かつては省エネルギーも目的とされていた様だが、最近のようにいかなる生活をしても電力などのエネルギーを大量消費する場合は時計の針を調整するくらいでは省エネに影響はなさそうな気がする。
- 起源
米国に広まったのは、第一次世界大戦の頃(law)。政治的に優位に立とうと思った議員が最初に導入を唱えた。日本でも導入されたことがあるが馴染まずに撤廃されている。日本のように緯度が南の国の場合はあまりインパクトが無いのかもしれない。
- 正しい名称
「Daylight Saving Time」が正しい名称。「Daylight SavingS Time」は誤り。この場合の'Saving'は動詞であり daylight を saving するというアクティビティーをあらわしている。読書タイムを Book reading time というのと同じ文法的用法。
多くの人(わたしも昨日までは 'S' をつけて発音していた)が Savings Time と呼ばれてしまう理由のひとつは、「Saving Time」より、S をつけた「Savings Time」の方が発音しやすいという事がある。辞書によっては、「Daylight Savings Time も一般的用法となっている」と認めているものも多い。もうひとつの理由としては、Daylight Saving Time という名前自体が正しくないという事がある。一時間時計の針を動かしても実際には daylight は saveされないからだ。Daylight Shifting Time が正しい表現だが、それでは、導入を言い出した人にとって政治的な説得力に欠ける事から Daylight Saving Time という言葉が使用されるに至ったのだそうだ。
大抵の物事の始まりにはそれによって得をする人がいるという社会のからくりは、こんなところにもあったのだ。
www.webexhibits.org/daylightsaving
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DARK SIDE OF THE MOON by PINK FLOYD
2003.04.07 mon
APRIL SHOWER DUMPS MORE SNOW
朝起きた時は曇天だったけれど会社について暫くした頃からぱらぱらと白いものがちらつき始め、じきに大量の雪が降り出した。天気予報どおりの大雪だ。4月という月は、たいてい一回くらい雪が降る。こうやって春になっていくのだ。
雪が好きなのはいつもと違う街の風景に出会えるから。
ビルの間のパブリックスペースに並ぶ金属製の椅子とテーブルの上は、まるで真っ白のふわふわクッションが置かれている様だ。白で覆われた銀色の椅子が遠くまでたくさん並ぶ超現実的な光景を眺めているうちに座ってみたい誘惑にかられた。
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DON'T LOOK BACK by BOSTON
2003.04.09 wed
BAGHDAD
米英軍がバグダッドを制圧、さらに、主要空港の掌握により制空権を確保、フセイン政権は実質上崩壊したとされている。テレビやインターネットのニュースでは喜ぶバグダッド市民の姿が映される。フセインの独裁から開放されることは嬉しいと思う市民も少なくないだろうが、しかし、それと米英に支配されることを歓迎するのとは別のこと。全く異なる文化の介入が嬉しい訳が無い。とくにイスラムの人たちは誇り高いのだから。民族意識(自意識と言い換えることもできる)が非常に強く他者を受け入れることには激しく否定的だ。
「Thank you, Mr. Bush」とテレビカメラに向かって手をふる市民は、勝者の側につくのが自己の身を守る最大の方法だと知っている為のパフォーマンスであり、決してジョージ・W・ブッシュに心から礼を言っているわけではないのは自明だ。長い間にわたり侵略をしたりされたりを繰り返して歴史を積み重ねてきた民族の本能的とも見える生命力の強さに圧倒される。
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SPLENDIDO HOTEL by AL DI MEOLA
2003.04.10 thu
三寒四温
夏時間になったら途端に寒くて雨の日ばかりが続いたが、今日はようやく晴れた。
マンハッタンにはビルの合間にパブリックスペースが作られていることがよくある。会社から近いこのスペースは突き当たりに滝の様な水のカーテンがあしらわれていて狭いスペースに奥行き感を与えている。天気が良い日はテーブルにお弁当を広げる人たちもいるが今日はあいにくと寒い。それでも気分は春といった人たちが寒そうに憩いのひとときをすごしている。
暑いほどの日が続いたと思うと寒い日になり、というのを繰り返すのがニューヨークの4月の特徴。これも一種の三寒四温なのだろうか。春は素直にはやってこないで随分もったいぶった登場シーンを作っている。
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PUBLIC ACCESS by STEVE KHAN
2003.04.12 sat
電子社会 (その発達で退化する能力とは)
昔は、といっても何十年も前のことではなくて、多分一昔、つまり10年前くらいは今ほどは世界がネットワークにより結ばれていなかった。少なくとも一般家庭に気軽に繋げるネットワーク回線が入り込んではいなかった。気軽というのは導入および維持に関する経済的負担が極めて少ない事と言い換えることができる。
インターネットがいつも繋がっている状態に慣れると世界の距離感はあまり感じなくなる。日本のニュースをWEBで見るのはニューヨークに住むわたしも東京にすむ人も同時。そのニュースの量は無尽蔵に近く、知る必要もない様な情報までを読むのに時間を費やす。
週末には東京の実家に電話をして60分くらい雑談をする事が多い。電話料金は10分1ドルくらいなので一時間6ドル。昔は長距離の国際電話の値段がとても高くて、通話時間をコンパクトにするために話す内容を予めリストアップしておいてから電話したようだ。そういう時代だったら雑談何十分なんて無かったのだろう。
尤も、今だって、一日は24時間だという事に変りはないのだから、(いくら料金が安価だろうと)電話は手短にしても良いのではないかと思う。
電子技術の発展は地球上の距離を一気に縮めて、便利になった様な気がするが一方で、われわれに時間の浪費をもたらしているような気がする。タイム・マネジメント能力のの退化の加速を止めなくては。
20世紀の人は言った。「書を捨てよ、街に出よう」
21世紀版は、「ディスプレーの前から離れて街に出よう」
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HUNKY DORY by DAVID BOWIE
2003.04.16 wed
木の芽
冬の間はまるで枯れ木状態だったのに、春になるとちゃんと芽を出すことを覚えている。
今頃の時期は、木によってまだ冬のままだったり、すっかり花が満開で葉っぱもたくさん茂っていたりといろいろ。
種により発芽の時期が異なるのは当然だが、おなじ種類の木でも気の早い木とかのんびりした木とかがある。同種の木が並ぶ街路樹で一本だけ早々と緑のもやもやに包まれていたり、或いは、他の木に葉っぱがついているのに一本だけまだ木肌のままで忘れた頃に大慌てで葉が茂りだすなど、木にも個性があり面白い。
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TIME OUT by DAVE BRUBECK QUARTET
2003.04.17 thu
冷気熱烈歓迎 (日々是新鮮)
二日続いた真夏のような気温は天気予報どおり下がり今朝の出勤時は5℃。過ごしやすい日が戻ってきて歓迎できる。
世の中では「気温が上がったり下がったりするのでおかしくなってしまう。」なんて言う人が結構いるようだが、わたし的には何もおかしくない。気温の上下はあったほうが好き。毎日似たような気温ではメリハリが無くてつまらぬ。いつもと同じ、という状態は生ぬるくて好きでは無いのだ。日々新鮮なのが良い。
NYCにおける過去5年間の4月17日の最高気温は次のとおり: (括弧内は摂氏)
1998 71F (21.6C)
1999 58F (14.4C)
2000 54F (12.2C)
2001 52F (11.1C)
2002 96F (35.5C) * Record high
2003 51F (10.6C)
上記より明らかなように、この時期の平均的気温は50度台なのである。しかし気温の上下にはばらつきが大きいのがNYCの春の特徴で毎年真夏のような日と雪の日が混在したりする。
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TIME OUT by DAVE BRUBECK QUARTET
2003.04.19 sat
Easter Weekend (Eggstravaganza)
今日は、おそらく一年で一番セントラルパークが混雑する日だろうと思う。
今年で57回目になるという恒例イースターのタマゴ探しのイベント『Eggstravaganza』が開催され、世界中の子供が集まったのではないかと思うほどの状況で(実際のところは50,000人程度だったらしい)いつもと同じ公園とは思えない様相を呈していた。
エッグ・ダイイング(タマゴに色をつける)、エッグ・ハント(草むらに隠したタマゴを探す)、それから大きなスプーンかヘラのようなものの上にカラフルな卵を乗せて落とさないように走るスプーンレースの様なもの、などタマゴを媒体とした様々なイベントが催されている。対象は幼児で、大人の膝丈くらいしかない子供たちには楽しいことなのだろう。
そういえば、わたしも小学校低学年の頃まではゆで卵に色を塗ったりしていたものだが楽しかったかどうかはおぼえていない。
イースターは本来はイエスキリストの復活を祝うという宗教的行事なのだけれど、実際には春のお祭りとして広まっており宗教色はあまり濃くない。
今年のイースターは比較的遅い日となったのでちょうど桜やこぶしの花の満開の時期と重なりいかにも春の行事という雰囲気満点。イースターは春分の日の後、最初の満月の次の日曜日と定められており今年は4月20日である。
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WALTZ FOR DEBBY by BILL EVANS TRIO
2003.04.22 tue
Earth Day
今日は Earth Day、今から33年前の1970年4月22日に環境問題を世間に知らしめる事を目的に活動家が始めたのが起源でいまは全国的規模となっている。
ニューヨーク市でもいくつかの記念行事が催された。
Environmental Protection Agency の AdministratorがブルームバーグNY市長を訪問、ガソリン以外の燃料で動く自動車を見学したり、
また、Lower East Side にある People Care Garden ではヴォランティアが花を植え、地球を大切にしようとうったえた。
ほかにも政府がスポンサーになっているアクティビティーは
web siteで紹介されているが、どれも大規模な動きにはいたっていないように見受ける。
リサイクルなどを推進するなど地球を慈しむ日です、と朝のテレビニュースのアナウンサー。しかし、NYCでは予算の関係でプラスティックのリサイクルを一時中止しているし、そもそも余所の国まで破壊しに出向く国家には Earth Day は似合わない。
それでも、「Earth Day」という日があるだけ驚きだ。
earthday.gov
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THE NIGHTFLY by DONALD FAGEN
2003.04.23 wed
ドアマンのスト回避
当地のアパートはちょっと大型だとドアマンやコンシェルジュ、ポーターなどを置いているところが多い。
これらのアパートメント・ビルディング従業員の組合(Service Employees International Union)の労使契約が22日の24:00に切れるので、その更新をめぐって交渉が続いていた。今回は双方の言い分がかけ離れていることからスト突入の可能性が高いといわれており、もし期日までに交渉が纏まらない場合はマンハッタンのアパートメントビルディングで働く28,000人がストに入ることになり、マンハッタン、ブルックリン、クイーンズの約 3,000のアパートで百万人の住人が影響を受ける事になる。
ストになった場合に備えて大抵のビルディングではコンティンジェンシー・プランが発動されていた。
わたしの住むアパートも例外ではなく、そのプランは以下のような内容を含んでいる。
-
ゴミ: ストの間は、ゴミは決まった所まで住民が自分で運ぶ、
- 配達: 荷物の配達を受け取るビルのスタッフが居ないので配達がありそうな人は自分でロビーで待つ、
- セキュリティー面: ストの間、コンシェルジュ(フロントデスク)は居ないので、代わりにフロントデスクに座る警備会社の人(ストの間だけ雇う)は住民の顔を知らないので全住民にはIDカードを事前に発行してそのIDを携行する、
結局、夜を徹した交渉によりストは回避となり今朝もアパートのサービスは継続されたのだった。
おなじ労働者として、ビルディングの従業員のスト(労働契約の改善)はサポートしたい気持ちはあるけれど、その一方で、現実には自分の生活に不便が生じるのだから、ストが無くなったのは歓迎。
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H2O by DARYL HALL + JOHN OATES
2003.04.26 sat
いつもの店
いつものインド料理店でランチ・バフェット。「いつもの」といっても実は今日で2回目なのだけれど、コージーな店ですっかり「いつもの」感になっている。
店の奥に陣取り持参の新聞を読みながら食事するお兄さんはまるで自宅のダイニングにいるみたい(自宅とちがうのは「新聞読みながら食べてはいけません」などと言われる事がない)。
「今日はすいているのね、いつもはこの時間だと満員で食べ物が無くなっているくらいなのに」と言いながら入ってきたおばさんは「いつもの」場所らしいテーブルにつく。
夫々の求めるものが得られることから人々がやって来る。
この店の居心地のよさの最大の理由は静けさや店の持つ和やかな雰囲気もあるが何しろ料理が美味しいことだろう。
雨の日の景色を大きなガラス窓の外に観ながら食べるおいしいインド料理、人生の幸福を再認識できる。
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Today's BGM =
X-STATIC by DARYL HALL & JOHN OATES
2003.04.27 sun
WalkAmerica 2003
4月最後の日曜日は今年も
WalkAmerica。
March of Dimes により毎年開催されるファンドレイジングで Walk-a-thonとも呼ばれるチャリティー・ウォーク。
参加者は予めスポンサーから任意の募金のコミットを集め、マンハッタンを歩く。
後日、コミットメントの実行となりお金を集めることになる。集まったお金は未熟児の医療研究機関に寄付される。
以前はマンハッタンを一周する約30キロという超ロングコースで、スポンサーは一マイル当たり10セント(Dime)といった登録を行い、歩いた距離に応じて寄付金が決まったのだが、最近は歩いた距離に拘わらず一回いくらという方式にかわっている。コースの距離も短くなっており今年は 6.2 マイル(10キロ)。
リンカーン・センター(62nd Street/ 9th Ave)からスタート。セントラルパークに入り65丁目の Transverse を横切ってイーストサイドに出て、レキシントンアベニューを南下する。23rd Street が折り返し地点。こんどは Madison Avenue を北上、53丁目で西に折れて10th Avenue を右折、62丁目のリンカーンセンターがゴール。
いつも車で通る道を歩く(交通規制が行われる)のは視点が変わり面白い。
今年は快晴、気温は暑くも寒くも無いという快適な環境で楽しく歩いた。地域に貢献するのが目的のアクティビティーとはいえ、難行苦行である必要はないのだから去年のような豪雨の中を歩くより今回のほうが良かった。
こんな参加者も(同僚のお連れ)
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TALKING BOOK by STEVIE WONDER
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