『 タイタニック 』

Titanic (1997)  USA 3h. 14mins.


1912年、イギリスからニューヨークへ向かう海上で氷山と衝突して沈んだ豪華客船「タイタニック」、船に乗っていた2223人のうち、1517人が命を失った実話の5回目の映画化。
今回は、三等船室の貧乏画家ジャック(レオナルド・ディカプリオ)と一等船室の金持令嬢ローズ(ケイト・ウィンスレット)とのラブ・ストーリーが5割、4割が巨大船舶の沈没、残りの一割が階級社会への疑問、という割り振りで作られている。 すなわち、ローズは両親、フィアンセと共に乗船していたが、金持ち階級の鼻持ちのならなさにウンザリしていたが、ひょんな事で知り合った貧乏画家のジャックに惹かれていく。 互いに信頼を確かめ合い、ニューヨークに着いたらジャックと船を降りる、と決心したのだが、そこで、船が氷山に衝突、沈没する船からサバイブする話へと展開していく。

一週間に何回も観に行く「タイタニック・フリーク」を生み出した "感涙・感動巨編" らしいが、脚本自体には取りたてて素晴らしい人物描写などは無いように思う。 特に深い愛情が描かれていたという場所も見つからなかった。3時間14分は一応退屈することも無く観たが、それは、映像が良く出来ているからだろう。流石2億ドルを費やしただけのことはあるのだ。 一番の見せ場は、やはりタイタニック号の沈没シーンなのだろうけれど、わたしが感動したのは、日没の海原を航海するタイタニック号の船首でジャックとローズが風を受けながら「飛んでいる」(I am flying!)シーン。 タイタニック最後の日没となったわけだが、あのシーンはいつまでも印象に残っている忘れられない映像だ。
普通のパニック映画の場合、スペクタクル及びパニックに居合わせた様々な人々の人生が主役となるが、この映画の場合、主役はローズである。 沢山の命を奪った船舶事故の悲劇は全くといって良いほど描かれていないが、それも、ローズの成長を、タイタニック号の沈没を背景に描いた映画、とみれば納得がいくであろう。映画のタイトルは、『ローズ』でも良いくらいだ。

ローズが、もっと華奢なほうが良かったという意見をよく聞いたが、あの、しっかりした体躯に大いに意味があるのではないだろうか。 主役のローズの丈夫さにはちょっとした感動を覚えた。人間、やはり最後は体力が勝負ですな。

dir: James Cameron