『 狂っちゃいないぜ! 』

Pushing Tin (1999) U.S.A. 2hr. 3min.



NY航空交通管制局"TRACON" はJFK、ラ・ガーディア、ニューアークといったビジーな空港を管轄とし、空の交通を整理する。 沢山の人の命に関わる重要な仕事で失敗は許されない。緊張の毎日だが仲間意識も強い職場なのだ。 そこで働くニック(ジョン・キューザック)は、リーダー的技術を自負していた。

そんなTRACONに、その敏腕さは伝説的とまでいわれるラッセル(ビリー・B・ソーントン)が転勤してきてニックの周りにはちょっとした乱気流が発生することになる。

自分こそはナンバーワンと思っていたニックは、ラッセルにライバル意識を燃やし、何かというと度胸を競うゲームに発展させてしまう。 仕事のあとのバーで、火の点いたマッチ棒を指で持ちだれが一番長い間我慢できるか、という仕事仲間のお遊びでも火傷寸前まで我慢したニックだがラッセルはクールに勝ってしまう。 ハイウエイで恐怖の追い越し技術を披露するニックの助手席に乗ったラッセルは怖がるどころか寝てしまう始末。ラッセルはちょっと暗いところもあるが、ただ者ではない。

ある日、ニックは街で偶然ラッセルの妻メリー(アンジェリーナ・ジョリー)と出会ったが、その時のメリーはひどくアップセットして泣いていた。 友達も居なくて寂しいというメリーをニックは食事に誘いそのあと成行きで関係を持ってしまう。 しかし、ニックは妻コニー(ケイト・ブランシェット)と二人の子供との幸せなファミリーに何の不満もなく、メリーとの間にはそれ以降何もなかった。 しばらくしてニックは、コニーがラッセルと親しくなっていることに気づく。 フランス語の勉強という共通の趣味で意気投合したとのことだが、ニックは、ラッセルがメリーの仕返しにコニーを誘惑しているのだと考え悩む。

しばらくして、更なる危機が訪れた。飛行機に爆弾がしかけられたという情報が入信したのだ。 空港内の全部の飛行機を安全な場所に誘導しなければならない。 天気は雪。必要となるレーダー技術者はふたり。 ラッセルに続いてニックがその困難な仕事を引き受けるべく名乗り出た ・・・

途中までは飛行機の離着陸にぴったりのスピーディー且リズミカルな構成で面白いのだが、同僚の妻と関係をもってしまいマリッジの危機といったテーマになる中盤あたりから映画のスピードが急にスローになりつまらなくなる。
レーダー着陸誘導システムを用いて飛行機の離着陸をさせるという航空管制塔の世界はとても興味深く面白い題材。

Mike Newell監督が 1997年の 『ドニー・ブラスコ』に続いて撮った作品。

dir: Mike Newell
(08/28/00)