『 ガタカ 』

GATTACA (1997) USA 1hr. 49mins.

時代は極近未来。世の中は、遺伝子の優劣が人間の社会的優劣を支配していた。自分の好きな容姿、好きな能力を持つ子供をつくる為の遺伝子操作は普通の出来事になっていた。

中には、夫婦の愛情だけにより(遺伝子操作という手順をふまないで)生まれた子供も存在し、ヴィンセント(イーサン・ホーク)もそんなひとりだった。 でも、彼は、生まれた時の遺伝子検査により99%の確率で心臓疾患を起こすことが記録されており、その為、高等教育を受けることが出来ず、エリート・コースからは一生脱落という人生が決まっていた。 しかし、彼には宇宙に行きたいという夢があった。彼は独学で知識を高め、鍛練を積み体も鍛えた。しかし、DNA情報が支配している社会ではいくら優秀な成績でも一流企業への面接試験すら受けられない。 そこで、優秀な遺伝子を持ちながら、事故により両足の機能を失った為、社会から脱落してひっそりと暮らしているジェローム(ジュード・ロウ)とトレードをし、彼の遺伝子を用いて彼になりすましガタカ・コーポレーションに入社する。 彼は、優秀な成績によりディレクターに認められ、希望どおり土星の衛星のひとつであるタイタンに行くプロジェクトに参加できることとなった。 あと一週間で宇宙飛行という時に社内で殺人事件が発生し、警察の捜査が始まる。 彼は殺人事件とは無関係だが、警察の捜査により自分が「IN-VALID」(不適格者)であることが判明するのではないかと脅える・・・・

この映画が作られてから1年の間に、科学の発展は、SFを通り越した。 生まれてくる子の性別や異常性を音波などで調べるのは以前から行われていたことだが、最近は異常が見つかった場合、遺伝子操作により生まれる前にその異常を変えることが技術的に可能になったという研究発表をしたグループがあった。 今や、理論的には遺伝子操作により自分の好きなような子供を作ることができるようになってしまった。

1時間49分のなかにはSF、青春映画、ロマンス、サスペンスが織り込まれているのにごちゃごちゃすることなく滑らかな展開をする。極めてセンスの良いインテリア、瞬きするのも惜しい映像美と天才的ひらめきのプロット、緻密なストーリー展開、すっかり魅了された。(11/28/98)

dir: Andrew M. Niccol


GATTACAとは … DNAの基本構成要素である4つの塩基(化学物質)―guanine(グアニン)、adenine(アデニン)、thymine(チミン)、cystosine(シストシン)の配列は、その頭文字をとってG、A、T、Cと表される。GATTACAはその頭文字からの造語。