『 サイダー・ハウス・ルール 』

Cider House Rules, The (1999) U.S.A. 2hr. 5min.



1940年代の米国メイン州を舞台に孤児院育ちの少年が外の社会に出て人生を見つける。ジョン・アーヴィング原作、脚本の感動作品。

ニューイングランドの美しい自然の中にその孤児院は建っている。 そこで生まれたホーマー(トビー・マグアイヤ)は二度養子に貰われたが二度とも里親の好みに合わないと戻されてしまう。 孤児院に留まったホーマーは院長のドクター・ラーチ(マイケル・ケイン)を手伝いながら青年になっていく。 院長は出産及び堕胎を手がけていた。当時、堕胎は違法だった為に望まない妊娠をした女性は怪しげな堕胎を行う場所に行き医学とは程遠い処置の結果、命を失うケースがあったのだ。 ドクター・ラーチは医学的で安全な堕胎は女性の為になるからという信念で堕胎を行っていたのだった。 産婦人科のテクニックや知識を身に付けていくホーマーにドクター・ラーチ自分の後を継いで孤児院とクリニックを守ってもらいたいと考えていた。

ある日、軍人の恋人ウォーリー(ポール・ラッド)を伴いキャンディー(シャリーズ・セロン)が堕胎にやってきた。 自分と同世代のふたりを見ているうちにホーマーは外の世界を知りたいという欲求が高まり、ラーチ医師に旅立ちを申し出る。 ラーチ院長は、まだ子供だと思っていたホーマーの旅立ちに動揺するも彼の意思にほだされ許可をする。 ホーマーはキャンディーとウォーリーの車に乗せてもらい生まれて初めて孤児院の外の世界へと旅立った。

ホーマーが働き始めたのはキャンディーとウォーリーの住む村にあるリンゴ園。そこでは果樹園から収穫したリンゴをつぶしてアップル・サイダーを作っていた。 リンゴの収穫季節になると集まってくる季節労働者達はサイダー・ハウスと呼ばれる宿舎で寝起きしており、ホーマーもそこで生活を始めた。 そこの壁にはルールをタイプした紙が貼ってあったが、毎年やってくる季節労働者たちがそのルールの内容を知ったのは今年が初めてだった。 ホーマーが加わるまでは字を読める者がいなかったのだ。
1. ベッドでタバコを吸わないでください。
2. 屋根の上でランチを食べてはいけません。
3. 屋根の上で寝てはいけません・・・・
サイダー・ハウスで寝起きしている者にとっては、あまりに馬鹿げたルールだ。「この世界を知らない者が作ったルールだ」労働者のリーダー格のミスター・ローズがつぶやく。

ウォーリーが戦地に戻る事になった。ひとり残されたキャンディーはホーマーをあちこちに連れ出し寂しさを紛らわせていたが、そのうち二人の間には友情以上の親しい感情が芽生え愛し合うようになった。 かつて経験したことの無い充実した気分を味わうホーマーだったが、幸せは長くは続かなかった。 ミスター・ローズの娘が望まぬ妊娠をしていることがわかり、キャンディーのところには、ウォーリーが戦地で負傷して下半身付随となり帰ってくるという知らせが届き、ホーマーのところにはラーチ院長が死亡した知らせが届いた。 ホーマーの決断は・・・

映画のテーマは罪と贖罪と愛。人間はみんな罪を持っているが、自分の持つ力を求められている場所で生かすことで罪を償う事ができる。 そのための人生探し、といったテーマだとわたしは感じた。

主役のトビー・マグアイヤが好演だし、競演のシャリーズ・セロンも、いつも目を赤くして恐怖に怯えてるだけという役柄が多いがこの映画では存在感があり中々良かった。 ラーチ医師のマイケル・ケインは本作品で2000年度アカデミー助演男優賞を受賞している。 ハルストレム監督らしく美しい景色描写、重いテーマがすんなりと心に染み入ってくる。

dir: Lasse Hallstrom
(11/04/00)

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